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あらすじ
むかしむかし、山の近くの村に、いたずら好きだけれど少しおっちょこちょいなきつねが住んでいました。
きつねは人を驚かせるのが大好きでしたが、ある日、大きなすりばちを使ったいたずらを思いつきます。
ところが、そのいたずらは思いもよらない結果を招いてしまいます。
失敗を通して、きつねが大切なことを学んでいくお話です。
本文
むかしむかし、山のふもとの森に、一匹のきつねが住んでいました。
このきつねは変身が得意でした。
旅人に化けたり、
お坊さんに化けたり、
時には大きな犬に化けたりして、人を驚かせて遊んでいました。
けれど、人を困らせるほどの悪いことはしません。
村の人たちも、
「またきつねのいたずらかな。」
と笑っていました。
ある日のことです。
きつねは村の家の軒先に、大きなすりばちが置いてあるのを見つけました。
「面白いことを思いついたぞ。」
きつねはそのすりばちを頭にかぶりました。
するとまるで大きな笠のようです。
「これなら誰も私だと気づかない。」
きつねはそのまま村へ歩いていきました。
ところが――
ごつん。
すりばちが門にぶつかります。
ごろん。
石につまずいて転びます。
「いててて。」
村の子どもたちは大笑いしました。
「大きな頭の人が歩いてる!」
きつねは少し恥ずかしくなりました。
それでも諦めません。
今度は夕方の道で旅人を驚かせようとしました。
「うらめしやー。」
ところが風が吹いて、
ひゅううう。
すりばちが飛ばされてしまいました。
ころころころ。
すりばちは坂道を転がっていきます。
きつねは慌てて追いかけました。
「待ってー!」
ころころ。
ころころ。
ついには川へ落ちてしまいました。
「大変だ!」
そこへ通りかかったのは、村のおじいさんでした。
おじいさんは長い枝を伸ばしました。
「つかまりなさい。」
きつねは枝につかまって岸へ上がることができました。
びしょぬれです。
おじいさんは笑いました。
「いたずらもいいけれど、ケガをしては大変だよ。」
きつねはしょんぼりしました。
「驚かせて笑ってもらいたかっただけなんだ。」
おじいさんは優しく言いました。
「笑わせることと、困らせることは違うんだ。」
きつねはその言葉を考えました。
それからというもの、きつねはいたずらをやめたわけではありません。
けれど、みんなが笑顔になるいたずらを考えるようになりました。
秋祭りの日には、
葉っぱの雨を降らせたり、
遠くから笛の音を響かせたり、
子どもたちを楽しませました。
村の人たちは笑いました。
「今年もきつねが来たぞ。」
きつねも笑いました。
「驚く顔より、笑う顔の方がいいな。」
そして今でも秋祭りの夜になると、
どこからか楽しそうな笛の音が聞こえるそうです。
その時は、すりばちをかついだきつねが近くにいるのかもしれません。
おしまい。
登場人物
- きつね
変身が得意ないたずら好きの主人公。 - おじいさん
川へ落ちたきつねを助ける優しい人物。 - 村の子どもたち
きつねのいたずらを楽しみにしている子どもたち。 - 村の人たち
きつねを温かく見守る人々。
教訓
- 人を笑顔にする工夫は大切。
- いたずらにも相手を思いやる気持ちが必要。
- 失敗から学ぶことで成長できる。
親子で話したいポイント
- 「笑わせる」と「困らせる」はどう違うかな?
- きつねはどうして考え方が変わったんだろう?
- みんなが楽しくなる遊びにはどんなものがあるかな?
保育士向け活用ポイント
- 「遊び」と「相手への配慮」を考える導入教材として活用できます。
- クラスでのルール作りや友だちとの関わりを考えるきっかけになります。
- 劇遊びでは変身やコミカルな動きが多く、子どもたちが楽しんで演じやすい作品です。


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