読了時間:約10分
あらすじ
むかしむかし、あるところに、お日さまにも負けないくらい立派な婿さんを探しているねずみの夫婦がいました。
「娘には、世界で一番すごい相手と結婚してほしい。」
そう考えた父さんねずみと母さんねずみは、強いと思う相手を次々と訪ねます。
しかし、お日さま、雲、風、壁と話を聞いていくうちに、本当に大切なことに気づいていきます。
本文
むかしむかし、あるところに、ねずみの夫婦が暮らしていました。
二人には、とてもかわいい娘ねずみがいました。
娘は明るく優しく、村のみんなから愛されていました。
父さんねずみは言いました。
「こんなにかわいい娘だから、世界で一番立派なお婿さんを迎えたい。」
母さんねずみも頷きました。
「そうね。この世で一番強くて、すばらしい方がいいわ。」
そこで二人は、娘にぴったりのお婿さんを探す旅に出ることにしました。
まず向かったのは、空高く輝くお日さまでした。
「お日さま、お日さま。」
「あなたは世界で一番偉い方ですか?」
お日さまはにっこり笑いました。
「私より強いものがいるよ。」
「それは雲だ。」
「雲が来れば、私の光も隠されてしまうからね。」
そこでねずみの夫婦は、雲のところへ行きました。
「雲さん、あなたこそ世界で一番強いのですか?」
雲は答えました。
「いやいや、私より強いものがいるよ。」
「それは風だ。」
「風が吹けば、私はどこかへ流されてしまう。」
ねずみの夫婦は、今度は風を訪ねました。
「風さん、あなたが一番強いのですか?」
風はびゅうびゅう吹きながら答えました。
「私より強いものがいる。」
「それは壁だ。」
「どんなに強く吹いても、壁を倒すことはできないからね。」
そこで二匹は、大きな壁のところへ行きました。
「壁さん、あなたが世界で一番強いのですね?」
すると壁は笑いました。
「いやいや、私にもかなわない相手がいるよ。」
「それは……ねずみだ。」
「私の体に穴を開けてしまうからね。」
父さんねずみと母さんねずみは驚きました。
「えっ、ねずみ?」
「私たちと同じねずみが、一番強いの?」
二匹は顔を見合わせました。
そして考えました。
「一番強いものを探していたけれど、本当に大切なのは力だけではないのかもしれない。」
村へ帰ると、娘ねずみに話しました。
「世界で一番強い相手を探したけれど、最後に分かったことがある。」
「自分たちと同じねずみこそ、素敵な相手なのかもしれないね。」
ちょうどその時、近くに住む若いねずみがやって来ました。
そのねずみは働き者で、
仲間を大切にし、
困った人を助ける優しいねずみでした。
父さんねずみと母さんねずみは言いました。
「この子なら、娘を安心して任せられる。」
こうして娘ねずみは、優しいねずみのお嫁さんになりました。
村では盛大なお祝いが開かれました。
おいしいごちそうを並べ、
歌を歌い、
みんなで幸せを喜びました。
父さんねずみは言いました。
「本当に大切なのは、見た目のすごさや力の強さではない。」
「優しい心と、相手を大切にする気持ちなんだ。」
それからねずみたちは、仲良く幸せに暮らしたそうです。
おしまい。
登場人物
- 父さんねずみ
娘の幸せを願い、立派な相手を探す父親。 - 母さんねずみ
娘を大切に思う優しい母親。 - 娘ねずみ
両親に愛されて育った心優しい娘。 - 若いねずみ
優しく働き者の婿さん。 - お日さま・雲・風・壁
強さについて教えてくれる存在。
教訓
- 本当の価値は、見た目や力だけでは決まらない。
- 自分らしさを大切にすることが大切。
- 優しい心を持つ人こそ、素晴らしい相手である。
親子で話したいポイント
- 一番強いものは何だったかな?
- 強い人ってどんな人だと思う?
- 友だちの良いところはどこかな?
保育士向け活用ポイント
- 「自分らしさ」「友だちの良さを認める」ことを伝える読み聞かせに適しています。
- 動物になりきる劇遊びや役割遊びへ発展できます。
- 「誰が一番すごい?」ではなく「それぞれに良いところがある」という気づきにつなげられます。


コメント