あらすじ
夜道を歩いていると、後ろから「べとべと、べとべと」と足音が近づいてきます。
けれど、振り返っても誰もいません。
「べとべとさん、先へお越しください」と道を譲ると、足音は通り過ぎていくといわれています。
本文
むかしむかし、ある村に、夜になると誰も通りたがらない道がありました。
その道を歩いていると、不思議な足音が聞こえてくるのです。
「べとべと、べとべと……」
ある夜、一人の男が家へ帰るため、その道を歩いていました。
すると、後ろから足音が聞こえてきました。
「べとべと、べとべと……」
男が立ち止まると、足音もぴたりと止まります。
「誰かいるのか?」
振り返ってみましたが、誰もいません。
男がまた歩き始めると、足音もついてきます。
「べとべと、べとべと……」
男はだんだん怖くなってきました。
そのとき、昔、祖父から聞いた話を思い出しました。
「そんなときは、『べとべとさん、先へお越しください』と言うんだ」
男は思い切って言いました。
「べとべとさん、先へお越しください」
すると、不思議なことに足音は男を追い越し、前へ進んでいきました。
「べとべと、べとべと……」
足音はだんだん遠ざかっていきます。
やがて、あたりはすっかり静かになりました。
男はほっとして、家へ帰っていきました。
おしまい。
登場人物
男
夜道でべとべとさんに出会う人物。
べとべとさん
姿は見えず、後ろから足音を立ててついてくるといわれる妖怪。
教訓
姿が見えないのに、足音だけがついてくる「べとべとさん」。
怖がって逃げるのではなく、道を譲ると通り過ぎていくという、少し変わった妖怪のお話です。
親子で話したいポイント
- 後ろから足音が聞こえたら、どんな気持ちになる?
- べとべとさんは、どんな姿をしていると思う?
- 「べとべと」という音を、どんな歩き方で表現できるかな?
保育士向け活用ポイント
「べとべと、べとべと」という特徴的な足音を使った、音遊びや表現遊びに広げやすいお話です。
読み聞かせのあとに、べとべとさんの歩き方や姿を自由に想像し、身体表現や造形活動につなげることもできます。


コメント