炭焼き長者(すみやきちょうじゃ)

昔話
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あらすじ

むかしむかし、山のふもとの村に、炭を焼いて暮らしている貧しい若者がいました。

若者は毎日まじめに働いていましたが、暮らしは決して楽ではありません。

ある雪の日、山の中で困っていた旅人を助けたことから、不思議な出来事が始まります。

真面目に働くことと、人への優しさが思いがけない幸せにつながっていくお話です。


本文

むかしむかし、深い山に囲まれた村に、一人の炭焼きの若者が住んでいました。

若者は毎朝まだ暗いうちに起きて山へ入り、木を切り、炭窯に火を入れて炭を作っていました。

炭を作る仕事は簡単ではありません。

火が強すぎてもいけません。

弱すぎても良い炭はできません。

若者は昼も夜も窯の様子を見ながら働いていました。

けれど、炭を売っても手元に残るお金はわずかでした。

それでも若者は愚痴を言いませんでした。

「今日も無事に働けた。」

「それだけでありがたい。」

それが若者の口ぐせでした。

ある冬の日のことです。

雪が降り始め、山道は真っ白になりました。

その時、若者は倒れている旅人を見つけました。

旅人は寒さで震えています。

若者は急いで旅人を小屋へ運びました。

炭火をおこし、温かいお茶を入れました。

「ゆっくり休んでください。」

旅人は何度も頭を下げました。

「助かりました。」

翌朝。

旅人は帰る前に言いました。

「あなたの炭窯の煙は、とても美しい。」

若者は不思議そうな顔をしました。

「煙ですか?」

旅人は笑いました。

「まっすぐ空へ昇る煙は、まじめに働く人の証です。」

そう言い残して旅人は山を下りていきました。

春になったある日。

村へ一人の役人がやってきました。

「都では今、多くの炭が必要になっている。」

「質の良い炭を作れる人を探しているんだ。」

村の人たちは口をそろえました。

「それなら山の炭焼きの若者だ。」

役人は若者の炭を見て驚きました。

火持ちがよく、

煙が少なく、

とても良い炭だったのです。

「ぜひ都へ納めてほしい。」

それから若者の炭は都でも評判になりました。

注文は次々に増えていきます。

若者は裕福になりました。

けれど若者は暮らしを変えませんでした。

山道を直し、

橋を作り、

困っている人がいれば助けました。

ある日、立派な馬車が村へやってきました。

そこから降りてきたのは、あの時の旅人でした。

実は旅人は都の役人だったのです。

旅人は言いました。

「私はあの日、あなたの人柄を見ていました。」

「技術だけではなく、人として信頼できる人に仕事をお願いしたかったのです。」

若者は驚きました。

「そうだったんですね。」

旅人は笑いました。

「良い仕事は、良い心から生まれるものです。」

やがて村の人たちは若者を、

「炭焼き長者」

と呼ぶようになりました。

けれど若者は最後までこう言っていました。

「私を豊かにしてくれたのはお金ではない。」

「人とのつながりなんだ。」

山には今日も、まっすぐな炭窯の煙が昇っていたそうです。

おしまい。


登場人物

  • 炭焼きの若者
    真面目で働き者の主人公。
  • 旅人
    雪の日に助けられる人物。後に若者の人生を変える存在になります。
  • 役人
    都で使う炭を探している人物。
  • 村の人たち
    若者の仕事ぶりをよく知る人々。

教訓

  • 真面目な努力はいつか誰かが見ている。
  • 人への優しさは思わぬ形で返ってくる。
  • 本当の豊かさは人とのつながりの中にある。

親子で話したいポイント

  • 若者はどうして旅人を助けたのかな?
  • 誰も見ていなくても頑張れることはあるかな?
  • お金以外の「豊かさ」にはどんなものがあると思う?

保育士向け活用ポイント

  • 勤労感謝の日や仕事をテーマにした保育活動の導入に活用できます。
  • 「努力することの価値」や「人との信頼関係」を考える教材になります。
  • 地域の仕事や昔の暮らしについて学ぶきっかけにもなります。

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