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あらすじ
むかしむかし、森で木を切って暮らしているきこりがいました。
ある日、仕事で使っていた大切な鉄の斧を池に落としてしまいます。
困っているきこりの前に現れたのは、水の女神でした。
女神は金の斧と銀の斧を見せて、きこりに尋ねます。
「これは、あなたの斧ですか?」
きこりが正直に答えると、思いがけない出来事が待っていました。
本文
むかしむかし、森の近くに一人のきこりが住んでいました。
きこりは毎日、森へ出かけて木を切っていました。
ある日のことです。
池のそばで木を切っていると、手がすべってしまいました。
「あっ!」
大切な鉄の斧が、池の中へ落ちてしまったのです。
きこりは慌てて池をのぞき込みました。
けれど、斧は深い池の底。
どこにあるのか見えません。
「困ったなあ。斧がないと仕事ができないぞ。」
きこりが池のほとりで困っていると、水面がキラキラと光り始めました。
すると、池の中から水の女神が現れました。
「どうしたのですか?」
きこりは答えました。
「大切な斧を池に落としてしまったのです。」
「それでは、私が探してきましょう。」
女神は池の中へ消えていきました。
しばらくすると、女神が戻ってきました。
手に持っていたのは、ピカピカに光る金の斧です。
「これは、あなたの斧ですか?」
きこりは首を横に振りました。
「いいえ。私の斧ではありません。」
女神はもう一度、池の中へ潜りました。
次に持ってきたのは、美しく光る銀の斧でした。
「では、これはあなたの斧ですか?」
きこりはまた首を横に振りました。
「いいえ。それも私の斧ではありません。」
女神は三度目に池へ潜りました。
そして今度は、使い込まれた鉄の斧を持ってきました。
それを見たきこりは、ぱっと笑顔になりました。
「はい! それが私の斧です!」
女神はにっこり笑いました。
「あなたは金の斧にも銀の斧にも欲を出さず、本当のことを言いましたね。」
女神は鉄の斧をきこりに返しました。
そして、金の斧と銀の斧も差し出しました。
「この二つも、あなたにあげましょう。」
「えっ、いいのですか?」
きこりはびっくりしました。
「ありがとうございます!」
きこりは三本の斧を大切に抱えて、家へ帰りました。
やがて、この話を聞いた近所の男が言いました。
「金の斧も銀の斧ももらっただって?」
男は自分も欲しくなりました。
さっそく池へ行くと、自分の斧をわざと池の中へ投げ込みました。
すると、水の女神が現れました。
「どうしたのですか?」
「斧を池に落としてしまったのです。」
女神は池へ潜り、金の斧を持って戻ってきました。
「これは、あなたの斧ですか?」
男は金の斧を見るなり、大きな声で答えました。
「はい! それが私の斧です!」
すると女神は首を横に振りました。
「いいえ。これはあなたの斧ではありません。」
女神は金の斧を持ったまま、池の中へ消えてしまいました。
男は慌てました。
「待ってくれ!」
けれど、女神はもう現れません。
男は金の斧どころか、自分の斧までなくしてしまいました。
一方、きこりは自分の鉄の斧をこれまでと変わらず大切に使い、毎日せっせと働きました。
そして、女神からもらった金の斧と銀の斧も大切にしたそうです。
おしまい。
登場人物
きこり
森で木を切って暮らしている働き者です。
池に斧を落としてしまいますが、女神に聞かれても自分の斧だけを選びます。
水の女神
池から現れる不思議な女神です。
池に落ちた斧を探し、きこりの前に金、銀、鉄の三本の斧を持ってきます。
近所の男
きこりが金の斧と銀の斧をもらったと聞き、自分も手に入れようと池へ向かいます。
親子で話したいポイント
- 金の斧が出てきたとき、きこりはどんな気持ちだったかな?
- 自分だったら、どの斧を選ぶ?
- 水の中から女神が出てきたら、どんなことを聞いてみたい?
- 金・銀・鉄の斧は、どんな重さや形をしていると思う?
保育士向け活用ポイント
金、銀、鉄と違った斧が次々に登場するため、子どもたちとやり取りをしながら楽しみやすいお話です。
「これはあなたの斧ですか?」の場面では、子どもたちに「違う!」「それ!」と答えてもらいながら読み進めることもできます。
金・銀・鉄の色や重さを想像したり、三種類の斧を作ったりする製作遊びにもつなげやすい作品です。


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