ジャックと豆の木|世界の名作・昔話(イギリス民話)

世界の名作・昔話

読む時間の目安:約8分

あらすじ

むかしむかし、ジャックという少年がお母さんと二人で暮らしていました。

ある日、家に残った牛を売りに出かけたジャックは、途中で出会ったおじいさんから不思議な豆をもらいます。

次の朝、庭を見ると、豆から空まで届くほど大きな木が伸びていました。

「この上には何があるんだろう?」

ジャックは大きな豆の木を登り始めます。


本文

むかしむかし、小さな村にジャックという少年が住んでいました。

ジャックはお母さんと二人暮らしです。

二人の家は貧しく、とうとう食べるものにも困るようになってしまいました。

ある日、お母さんが言いました。

「ジャック。この牛を町へ連れて行って、売ってきておくれ。」

牛は二人に残された大切なものでした。

ジャックは牛を連れて町へ向かいました。

その途中、一人のおじいさんに出会いました。

おじいさんはジャックの牛を見ると、声をかけました。

「その牛を、私の豆と交換しないかい?」

「豆?」

おじいさんが手を開くと、そこにはいくつかの豆がありました。

「ただの豆じゃない。魔法の豆だよ。」

ジャックは豆をじっと見つめました。

「本当に魔法の豆なの?」

「ああ。とても不思議な豆さ。」

ジャックは迷いましたが、とうとう牛と豆を交換しました。

「お母さん、ただいま!」

家へ帰ったジャックは、さっそく豆を見せました。

ところがお母さんはびっくり。

「牛を売ったお金は?」

「この魔法の豆と交換したんだ!」

「なんですって!」

お母さんは怒って、豆を窓から外へ投げてしまいました。

その夜、ジャックはしょんぼりしながら眠りました。

そして、次の日の朝。

ジャックが目を覚ますと、部屋の中がいつもより暗くなっています。

「なんだろう?」

窓を開けてみると、ジャックはびっくり。

「うわあ!」

庭から、とてつもなく大きな豆の木が伸びていました。

上を見ても、てっぺんが見えません。

豆の木は雲の中まで続いています。

「昨日の豆だ!」

ジャックは豆の木に手をかけました。

「この上には何があるんだろう?」

ジャックは登ってみることにしました。

よいしょ。

よいしょ。

どんどん登ります。

家はどんどん小さくなっていきました。

やがて雲を抜けると、その先には見たこともない世界が広がっていました。

そして遠くには、大きなお城があります。

「なんて大きなお城なんだ。」

ジャックはお城へ向かいました。

中へ入ると、何もかもが大きなものばかり。

大きな机。

大きな椅子。

大きなお皿。

ジャックが辺りを見ていると、

ドシン。

ドシン。

大きな音が聞こえてきました。

「誰か来る!」

ジャックは慌てて物陰に隠れました。

現れたのは、とても大きな男でした。

大男は鼻をクンクンさせます。

「おかしいぞ。」

「人間のにおいがする。」

ジャックは息をひそめました。

しばらくすると、大男はテーブルの前に座りました。

そして、金貨の入った袋を取り出します。

ジャラジャラ。

大男は金貨を数えているうちに、そのまま眠ってしまいました。

ジャックはそっと物陰から出ました。

そして金貨の袋を持つと、お城から逃げ出しました。

豆の木を降り、家へ帰ると、お母さんはびっくりしました。

それからしばらくして、ジャックはもう一度豆の木を登りました。

お城には、金の卵を産む不思議なにわとりがいました。

「金の卵を産め!」

大男が言うと、

コロン。

にわとりが金色の卵を産みました。

大男が眠ると、ジャックはにわとりを抱えて逃げました。

そして、また別の日。

ジャックはもう一度、お城へ向かいました。

今度は、美しい金のハープを見つけました。

大男が眠ったすきに、ジャックはハープを持ち上げました。

すると突然、

「ご主人さま! ご主人さま!」

ハープが大声を出しました。

「しまった!」

大男が目を覚ましました。

「誰だ!」

ジャックはハープを抱えて走り出しました。

「待てー!」

大男が追いかけてきます。

ドシン!

ドシン!

ドシン!

ジャックは夢中で豆の木を降りました。

「お母さん!」

地上まで降りたジャックは叫びました。

「斧を持ってきて!」

お母さんが急いで斧を持ってきました。

ジャックは豆の木を切り始めます。

ザクッ!

ザクッ!

大男はまだ豆の木を降りています。

「待てー!」

ジャックはさらに力を込めました。

ザクッ!

メキメキメキ……。

そして、

ドーン!

大きな豆の木は倒れました。

大男は、もうジャックを追いかけてくることはありませんでした。

ジャックとお母さんには、金貨と金の卵を産むにわとり、そして金のハープが残りました。

二人はもう食べるものに困ることもなくなりました。

それからジャックとお母さんは、仲良く幸せに暮らしたそうです。

おしまい。


登場人物

ジャック

お母さんと二人で暮らしている少年です。

魔法の豆から伸びた大きな豆の木を登り、雲の上のお城へ向かいます。

お母さん

ジャックと一緒に暮らしています。

ジャックが牛と交換して持ち帰った豆を見て、驚いて外へ投げてしまいます。

大男

雲の上にある大きなお城に住んでいます。

金貨や金の卵を産むにわとり、不思議な金のハープを持っています。

不思議なおじいさん

町へ向かうジャックの前に現れます。

牛と交換するため、ジャックに魔法の豆を渡します。


親子で話したいポイント

  • 魔法の豆をもらったら、植えてみたい?
  • 豆の木の上には、ほかにどんなものがあると思う?
  • 大男のお城で一番見てみたいものはどれ?
  • 自分だったら、空まで続く豆の木を登ってみたい?

保育士向け活用ポイント

空まで伸びる豆の木や雲の上のお城など、子どもが想像を広げやすい場面がたくさんあります。

「よいしょ、よいしょ」と豆の木を登ったり、「ドシン、ドシン」と大男になって歩いたりすると、身体表現でも楽しめます。

大きなものと小さなものを比べる製作遊びや、「豆の木の上には何がある?」と自由に描く活動にもつなげやすいお話です。

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