読む時間の目安:約8分
あらすじ
むかしむかし、一本の大きなりんごの木がありました。
その木は、一人の少年のことが大好きでした。
少年が小さい頃から大人になるまで、木はいつも少年に寄り添い、必要なものを与え続けます。
時が流れ、少年の願いは変化していきます。
木は少年を思い続け、最後には大切なことを教えてくれます。
「愛すること」「相手を思いやること」「与えることと受け取ること」について考えさせられる世界的な名作です。
本文
むかしむかし、
一本の大きなりんごの木がありました。
その木の近くには、
一人の男の子がいました。
男の子は、
毎日その木のところへ遊びに来ました。
木登りをしました。
枝の間で休みました。
りんごを食べました。
木は、
男の子と過ごす時間が大好きでした。
「あなたと一緒にいると嬉しいよ。」
木は心の中で思っていました。
やがて、
男の子は大きくなりました。
以前のように、
木のところへ遊びに来なくなりました。
ある日、
久しぶりに男の子がやってきました。
でも、
男の子は悲しそうな顔をしていました。
「お金が欲しいんだ。」
木は言いました。
「私のりんごを取って売ればいいよ。」
男の子は、
りんごを集めて町へ持っていきました。
木は嬉しく思いました。
「少しでも役に立てたなら嬉しい。」
また時が流れました。
男の子は大人になりました。
そして、
また木のところへやってきました。
「家が欲しい。」
木は言いました。
「私の枝を使って家を作るといいよ。」
男の子は枝を切り、
家を作りました。
木は少し寂しくなりました。
でも、
男の子が幸せそうだったので嬉しく思いました。
さらに年月が過ぎました。
男の子は、
年を重ねていました。
「遠くへ行きたい。」
「船が欲しい。」
木は言いました。
「私の幹を使って船を作るといいよ。」
男の子は、
木を切り、
船を作りました。
そして遠くへ旅立ちました。
木は一本の切り株になりました。
それでも、
木は男の子を待ち続けました。
長い年月が過ぎ、
年老いた男の子が戻ってきました。
木は言いました。
「ごめんなさい。」
「もう、あなたにあげられるものはありません。」
男の子は言いました。
「もう何もいらない。」
「ただ、ゆっくり座って休みたいんだ。」
木は言いました。
「それなら、ここに座って休んでください。」
男の子は切り株に座りました。
木は嬉しく思いました。
「あなたが戻ってきてくれて嬉しい。」
二人は静かに過ごしました。
おしまい。
登場人物
大きな木
少年を無条件に愛し、成長を見守り続ける存在です。
少年
成長とともに願いや生活が変化していく人物です。
教訓
- 大切な人を思う気持ちは長く続く。
- 愛情とは相手の幸せを願うこと。
- 与えることだけでなく、相手とのつながりも大切。
- 人との関係は成長とともに変化していく。
親子で話したいポイント
- 木はどうして少年にいろいろなものを渡したのかな?
- 大切な人が喜ぶと自分も嬉しくなることはある?
- 感謝の気持ちを伝えたことはある?
- 本当に大切なものは何だろう?
保育士向け活用ポイント
- 愛着形成や信頼関係について考える教材になります。
- 子どもは、安心できる大人との関係の中で自分らしく成長していきます。
- 保育者は「何かをしてあげる」だけではなく、子どもの存在そのものを受け止める姿勢が大切です。
- 一方で、子どもの主体性を育てるためには、すべてを先回りして与えるのではなく、必要な時に支える関わりも重要です。
- 「援助すること」と「見守ること」のバランスを考えるきっかけになる作品です。
- 子ども一人ひとりの成長段階を理解し、その子に必要な環境や関わりを考えることは、保育の質向上につながります。


コメント