鳴釜(なりかま)|世界の名作・昔話(日本の妖怪)

怖い話・妖怪の話・怪談

あらすじ

竈の釜が、何の前触れもなく低く鳴り始めることがあります。

その不思議な音を、昔の人々は神さまや妖怪からの知らせと考えることがありました。

「鳴釜」は、釜が鳴ることで吉凶を知らせるとされる、不思議で少し不気味な存在です。

本文

むかしむかし、ある家に古い竈がありました。

家の人たちは、毎日その竈で火をおこし、ご飯を炊いて暮らしていました。

長く使われた竈はすすで黒くなり、釜もところどころ傷んでいましたが、いつもと変わらず働いていました。

ところが、ある日のことです。

夕方になり、家の中が静かになったころ。

誰も竈に火をつけていないのに、どこからか低い音が聞こえてきました。

「ごおおお……。」

家の人は手を止めました。

「今の音は何だ?」

しばらく耳をすませます。

すると、もう一度。

「ごおおお……。」

音は、どうやら竈の方から聞こえてきます。

恐る恐る近づいてみると、火の消えた釜がかすかに震えていました。

「釜が……鳴っている。」

家の人たちは顔を見合わせました。

誰も釜に触れていません。

風が吹き込んでいるわけでもありません。

それなのに、釜の奥からうなるような音が続いています。

やがて音はぴたりと止みました。

家の中は、さっきまでのことが嘘だったかのように静かになりました。

その日から、家の人たちは釜の音を気にするようになりました。

すると不思議なことに、家や村で何か大きな出来事が起こる前になると、釜が鳴ることがありました。

「また鳴ったぞ。」

「今度は何が起きるのだろう。」

やがて、その噂は村の人々にも広がりました。

「この釜は、何かを知らせているのかもしれない。」

村の人たちは、釜が鳴るたびに耳をすませるようになりました。

うれしい知らせの前に鳴ることもあれば、よくないことが起こる前に鳴ることもある。

いつしか、その不思議な釜は「鳴釜」と呼ばれるようになりました。

夜になると、誰もいない竈の奥から、

「ごおおお……。」

と低い音が聞こえることがあったといいます。

おしまい。

登場人物

家の人々
釜の不思議な音に気づく人たち。

鳴釜
釜から不思議な音を出し、何かの知らせを伝えるとされる存在。

教訓

小さな変化を見逃さない。

分からないことを、そのままにせず知ろうとする気持ちを持つ。

昔の人々が、自然や暮らしの中の不思議をどのように受け止めていたのかを知ることができる。

親子で話したいポイント

釜から突然音がしたら、どうする?

身の回りに「どうして鳴るんだろう?」と思う音はあるかな?

昔の人は、なぜ不思議な音を神さまや妖怪からの知らせだと考えたのかな?

保育士向け活用ポイント

音や振動、火など、暮らしの中にある科学への興味につなげられます。

「どうして音がするんだろう?」という疑問から、音の違いや振動を確かめる探究活動へ発展させることもできます。

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