読了時間:約6分
あらすじ
むかしむかし、村の蔵には大きな米俵が並んでいました。
その中の一つの米俵は、自分の大きさを自慢していました。
一方、小さなねずみは、自分には大した力がないと思っていました。
ある出来事をきっかけに、大きなものにも小さなものにも、それぞれ大切な役割があることに気づいていくお話です。
本文
むかしむかし、ある村の大きな蔵の中に、たくさんの米俵が並んでいました。
秋の収穫が終わり、村の人たちは大切なお米を蔵へ運び入れたのです。
その中でも、一番大きな米俵がありました。
その米俵は言いました。
「私はこの蔵で一番大きい。」
「村のみんなを支えているのは私だ。」
周りの米俵たちも、
「確かに大きいなあ。」
とうなずきました。
その頃、蔵の隅には一匹の小さなねずみが住んでいました。
ねずみは小さな体を見てため息をつきます。
「ぼくなんて小さいし、何の役にも立たないな。」
ある冬の夜のことです。
強い風が吹き始めました。
ガタガタ。
バタン!
蔵の戸が少し開いてしまいました。
冷たい風が吹き込みます。
「このままでは大変だ。」
米俵たちは心配しました。
けれど、大きな米俵は重すぎて動くことができません。
「誰か戸を閉めてくれ。」
でも誰も動けませんでした。
その時です。
小さなねずみが走り出しました。
ねずみは開いた戸のすき間へ向かいました。
小さな体を使って木の棒を押します。
けれど、一匹では動きません。
「誰か手伝って!」
ねずみが声を上げると、蔵の中の仲間たちが集まりました。
小さなねずみたちが力を合わせます。
押して、
押して、
また押して——
ついに戸は閉まりました。
蔵の中に静けさが戻りました。
大きな米俵は言いました。
「ありがとう。」
「私にはできないことを、君がやってくれたんだね。」
ねずみは少し照れながら答えました。
「ぼくは小さいけれど、小さいからできることもあるんだ。」
米俵はうなずきました。
「大きいことも大切。」
「小さいことも大切。」
「みんな違う役割を持っているんだね。」
春になると、蔵のお米は村の人たちへ届けられました。
おにぎりになり、
おもちになり、
元気のもとになりました。
そして蔵のねずみたちは、今日も蔵を見守っています。
大きさや力の強さだけでは決まりません。
誰にでも、その人にしかできない大切な役割があるのです。
おしまい。
登場人物
- 大きな米俵
自分の大きさを誇りに思っている米俵。 - ねずみ
小さな体に悩んでいますが、大切な役割を見つける主人公。 - ねずみたち
仲間と力を合わせて行動する存在。 - 村の人たち
お米を育て、暮らしを支える人々。
教訓
- 小さな力でも大きな役割を果たせる。
- 一人では難しくても、みんなで力を合わせればできる。
- 人にはそれぞれ得意なことや役割がある。
親子で話したいポイント
- ねずみにしかできなかったことは何だったかな?
- 自分の得意なことは何だろう?
- 友だちと協力してできたことはあるかな?
保育士向け活用ポイント
- 「自己肯定感」や「役割意識」を育てる教材として活用できます。
- 当番活動や異年齢交流の導入にも活用しやすい内容です。
- 「みんな違ってみんないい」というテーマでの話し合い活動につなげられます。


コメント