仁王とどっこい(におうとどっこい)

昔話
この記事は約3分で読めます。

読了時間:約8分

あらすじ

むかしむかし、力自慢で負けず嫌いな男がいました。

男は「自分より強い者はいない」と思っていましたが、ある日、お寺の仁王様の像と力比べをすることになります。

人間の力と大きな仁王様の力。

男は知恵を使って勝負に挑みますが、最後に大切なことを学ぶのでした。


本文

むかしむかし、ある村に「どっこい」という名前の力持ちの男が住んでいました。

どっこいは、重たい荷物を軽々と持ち上げ、

大きな木を運び、

村で一番の力持ちだと言われていました。

しかし、少し困ったところがありました。

それは、自分の力を自慢することです。

「わしより力の強い者なんて、どこにもいない。」

どっこいはいつもそう言っていました。

ある日のこと。

どっこいは町のお寺へやって来ました。

そこには大きな仁王様の像が立っていました。

赤い顔、

大きな体、

力強い姿。

それを見たどっこいは言いました。

「この仁王様はずいぶん立派だ。」

「でも、わしの力にはかなうまい。」

それを聞いた村人たちは驚きました。

「仁王様と勝負するつもりかい?」

どっこいは胸を張りました。

「もちろんだ。」

すると不思議なことに、仁王様の像が動き出したと言われています。

「人間よ。」

「本当に自分が一番強いと思うのか。」

どっこいは答えました。

「ああ、そう思う。」

そこで、二人は力比べをすることになりました。

まずは押し相撲です。

どっこいが力いっぱい押します。

「どっこいしょ!」

しかし、仁王様はびくともしません。

「さすが仁王様だ。」

村人たちは驚きました。

次は重たい石を持ち上げる勝負です。

どっこいは大きな石を持ち上げました。

「どうだ!」

ところが仁王様は、もっと大きな石を軽々と持ち上げました。

どっこいは悔しくなりました。

「力ではかなわないのか……。」

そこでどっこいは考えました。

「強い者に勝つには、力だけではだめだ。」

そして最後の勝負をお願いしました。

「今度は知恵比べにしましょう。」

仁王様はうなずきました。

どっこいは一本の棒を持ってきました。

「この棒を動かした方が勝ちです。」

仁王様が棒を握ると、どっこいは反対側を持ちました。

「せーの!」

仁王様が力を入れると、どっこいは棒を離しました。

すると仁王様は勢いよく後ろへ倒れそうになりました。

「しまった!」

仁王様は驚きました。

どっこいは言いました。

「力が強いだけでは勝てません。」

「考えることも大切なのです。」

仁王様は笑いました。

「なるほど。」

「お前は力だけではなく、知恵も持っているのだな。」

どっこいはその言葉を聞いて考えました。

今まで自分は力があることばかり自慢していた。

でも、本当に大切なのは力だけではない。

それからのどっこいは変わりました。

力を自慢するのではなく、

困っている人を助けるために力を使うようになりました。

重たい荷物を運び、

壊れた家を直し、

村の人たちを助けました。

村の人たちは言いました。

「本当に強い人というのは、力を自慢する人ではなく、人のために使える人なんだね。」

どっこいは笑いました。

「力も知恵も、誰かのために使ってこそ意味があるんだ。」

それから村では、どっこいのことを立派な力持ちとして語り継いだそうです。

おしまい。


登場人物

  • どっこい
    力自慢だったが、知恵や思いやりの大切さを学ぶ男。
  • 仁王様
    強さの象徴として登場する存在。
  • 村人たち
    どっこいの成長を見守る人々。

教訓

  • 本当の強さは、力だけではなく心の強さで決まる。
  • 知恵を使うことも大切。
  • 力は人を助けるために使うもの。

親子で話したいポイント

  • 本当に強い人ってどんな人かな?
  • 力があったら何に使いたい?
  • 知恵を使うと、どんなことができるかな?

保育士向け活用ポイント

  • 「本当の強さ」「思いやり」を考える読み聞かせに適しています。
  • 力比べや相撲遊びなど、身体表現活動にもつなげやすい題材です。
  • 「強い=勝つこと」ではなく、「人のために役立つこと」という価値観を育む教材になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました