彦一ばなし(ひこいちばなし)

昔話
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あらすじ

むかしむかし、九州の肥後の国(今の熊本県あたり)に、彦一という若者がいました。

彦一は力持ちではありませんでしたが、とても頭が良く、知恵を使って困難を乗り越えるのが得意でした。

大人やお殿様を相手に、機転を利かせて次々と驚かせる彦一。

「知恵は大きな力になる」ということを教えてくれる、日本のとんち昔話です。


本文

むかしむかし、肥後の国に、彦一という若者が住んでいました。

彦一は体も小さく、お金持ちでもありませんでした。

けれど、一つだけ誰にも負けないものがありました。

それは、

「よく考える頭」

でした。

村の人たちは言いました。

「彦一は何を考えているか分からないが、とても賢い若者だ。」

ある日のこと。

彦一のところへ、お殿様からお呼びがかかりました。

「彦一という者は、ずいぶん知恵があるそうだな。」

「本当なら、面白い話を聞かせてみよ。」

お殿様は彦一を試そうとしました。

彦一は頭を下げました。

「私にできることであれば。」

すると、お殿様は言いました。

「この庭にある橋を、動かしてみせよ。」

彦一は驚きました。

大きな石の橋を動かすなんて、普通ならできません。

しかし、彦一は少し考えました。

そして言いました。

「分かりました。」

「ただし、殿様も手伝ってください。」

お殿様は笑いました。

「よいだろう。」

彦一は言いました。

「では、橋の下へ入って持ち上げましょう。」

「私一人では重すぎますので、殿様も反対側をお願いします。」

お殿様は橋を動かそうとして気づきました。

「なるほど。」

「橋を動かすのではなく、動かすために力を合わせるということか。」

お殿様は彦一の知恵に感心しました。

また別の日。

お殿様は彦一に言いました。

「この箱の中に何が入っているか当ててみよ。」

箱は閉じられていて、中を見ることはできません。

彦一は箱を持ち上げたり、

耳を近づけたりしました。

しばらく考えてから言いました。

「中身は……殿様が大切にしているものですね。」

お殿様は驚きました。

「なぜ分かった?」

彦一は笑いました。

「大切なものなら、こんなに丁寧な箱に入れるはずです。」

お殿様はまた感心しました。

「なるほど、よく見て考えることが大事なのだな。」

村では、彦一の知恵の話が広まりました。

しかし彦一は、自分が賢いことを自慢しませんでした。

困っている人がいれば助け、

争いがあれば知恵を使って仲直りさせました。

ある日、村人が言いました。

「彦一さんは、どうしてそんなに良い考えが浮かぶのですか?」

彦一は答えました。

「すぐに答えを出そうとせず、よく見て、よく考えることです。」

「力がなくても、知恵があれば人の役に立てます。」

それを聞いた村の人たちは感心しました。

それからも彦一は、知恵を使って多くの人を助け、村の人気者として暮らしたそうです。

おしまい。


登場人物

  • 彦一
    知恵と機転で問題を解決する若者。
  • お殿様
    彦一の知恵を試す人物。
  • 村人たち
    彦一を慕う人々。

教訓

  • 知恵は大きな力になる。
  • 物事をよく見て考えることが大切。
  • 賢さは、人を助けるために使うもの。

親子で話したいポイント

  • 彦一はどうして問題を解決できたのかな?
  • 力と知恵では、どちらが大切だと思う?
  • 困った時、どうやって考えればいいかな?

保育士向け活用ポイント

  • 「考える力」「工夫する力」を育む読み聞かせに適しています。
  • クイズ形式で「みんなならどうする?」と問いかける活動につなげられます。
  • 知恵遊びや言葉遊び、問題解決遊びへの発展にも向いています。

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