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あらすじ
むかしむかし、雨がまったく降らず、田畑が枯れて困っている村がありました。
村人たちは毎日空を見上げ、恵みの雨を願っていました。
そんなある日、山奥に住む不思議な竜の話を聞いた若者が、雨をお願いするために旅へ出ます。
果たして、竜は村に雨を降らせてくれるのでしょうか。
本文
むかしむかし、山と川に囲まれた小さな村がありました。
その村は土地が豊かで、春になると田んぼには青い稲が広がり、秋になると黄金色の稲穂が揺れていました。
村人たちは自然の恵みに感謝しながら、仲良く暮らしていました。
ところが、ある年の夏のことです。
何日たっても雨が降りませんでした。
最初のうちは、
「もう少し待てば雨が来るだろう。」
と村人たちは考えていました。
しかし、一週間たっても雨は降りません。
二週間たっても、空には雲ひとつありません。
太陽は毎日強く照りつけ、川の水は少しずつ減っていきました。
田んぼの稲は元気をなくし、畑の野菜もしおれてしまいました。
子どもたちは水を大切に使い、おじいさんやおばあさんたちは心配そうに空を見上げました。
「このままでは村が大変なことになる。」
村人たちは集まって相談しました。
その時、一人のおじいさんが言いました。
「昔、この山の奥には雨を呼ぶ竜が住んでいるという話を聞いたことがある。」
村人たちは驚きました。
「竜だって?」
「そんな生き物が本当にいるのか?」
おじいさんはうなずきました。
「昔の人は、困った時にその竜へお願いをしたそうだ。」
村人たちは顔を見合わせました。
しかし、山奥へ行く道は険しく、誰も簡単には行こうとしません。
その時、村の若者である太郎が立ち上がりました。
「僕が行きます。」
村人たちは心配しました。
「山の奥は危険だぞ。」
「どんな場所か分からない。」
それでも太郎は言いました。
「村のみんなが困っているなら、できることをしたいんです。」
こうして太郎は、少しの食べ物と水を持って山へ向かいました。
山道は険しく、何度も転びそうになりました。
大きな岩を越え、深い森を抜け、何日も歩き続けました。
すると、山の奥深くで大きな洞窟を見つけました。
洞窟の中からは、冷たい風が吹いています。
太郎が恐る恐る中へ入ると、奥には大きな体を横たえた竜がいました。
体は長く、空を飛べそうな大きな翼を持っています。
竜はゆっくりと目を開きました。
「人間よ。なぜここへ来た。」
太郎は震えながらも答えました。
「私の村が雨が降らず困っています。」
「田んぼも畑も枯れ、みんなが苦しんでいます。」
「どうか雨を降らせてください。」
竜はしばらく黙っていました。
そして言いました。
「人間たちは、自然からもらったものを当たり前だと思ってはいないか。」
太郎は考えました。
確かに、村では水が豊かな時、無駄に使ってしまうこともありました。
太郎は素直に答えました。
「そうかもしれません。」
「でも、今はみんな自然の大切さを分かっています。」
「これからは、水や土地を大切に使います。」
竜は太郎の真剣な表情を見ました。
「本当にそう思うのか。」
「はい。」
太郎は力強く答えました。
すると竜は大きく体を起こしました。
「よし。人間の心が変わったのなら、力を貸そう。」
竜は洞窟から飛び出しました。
山の上まで昇ると、大きな雲が集まり始めました。
ゴロゴロ……。
空から雷の音が聞こえます。
そして、
ポツリ。
ポツリ。
やがて大粒の雨が降り始めました。
村では、久しぶりの雨に人々が喜びました。
「雨だ!」
「恵みの雨だ!」
枯れかけていた田んぼは水を取り戻し、野菜も少しずつ元気になりました。
しばらくすると、村の空に大きな虹がかかりました。
村人たちは空を見上げました。
その虹の向こうに、一瞬だけ竜の姿が見えたような気がしました。
太郎が村へ帰ると、みんなが駆け寄りました。
「よく帰ってきた!」
「村を救ってくれてありがとう!」
太郎は笑いました。
「僕一人の力じゃありません。」
「自然の恵みと、みんなの思いが届いたんです。」
それから村人たちは、水を大切にし、山や川を守るようになりました。
雨が降るたびに、村の人たちは竜へ感謝しました。
そして、自然を大切にする心を忘れなかったということです。
おしまい。
登場人物
- 太郎
村を救うために山へ向かった勇気ある若者。 - 雨を降らせる竜
山奥に住む不思議な存在。自然の力を司る竜。 - 村人たち
雨が降らず困っていた村の人々。
教訓
- 自然の恵みは当たり前ではない。
- 困った時こそ勇気を持って行動することが大切。
- 人間と自然は支え合って生きている。
親子で話したいポイント
- 水がなくなったら、私たちの生活はどうなるかな?
- 普段から大切に使っているものは何がある?
- 困っている人のために、自分ができることは何かな?
保育士向け活用ポイント
- 「自然への感謝」「環境を大切にする心」を育てる活動に活用できます。
- 雨、水、自然をテーマにした製作や観察活動につなげやすい作品です。
- 梅雨時期の読み聞かせ教材としても使いやすい内容です。


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