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あらすじ
むかしむかし、貧しいけれど心の優しいおじいさんとおばあさんが暮らしていました。
ある年の暮れ、おじいさんは町へ笠を売りに出かけます。
しかし、笠は一つも売れません。
帰り道、おじいさんは雪の中に並ぶお地蔵さまを見つけ、寒そうにしている姿を見て、自分の大切な笠をかぶせてあげます。
その優しい行いが、思いがけない幸せを運んできます。
本文
むかしむかし、山のふもとの小さな家に、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。
二人はとても貧しい生活をしていました。
食べ物も十分にはありません。
着るものも古くなっていました。
それでも、おじいさんとおばあさんはいつも仲良く暮らしていました。
「今日も元気に過ごせるだけでありがたいね。」
二人はそう言って、助け合っていました。
ある年の大みそかのことです。
おばあさんは言いました。
「明日はお正月ですね。」
「でも、何も準備できるものがありませんね。」
おじいさんは考えました。
「そうだ。町へ行って、笠を売ってこよう。」
おじいさんは一生懸命作った笠を五つ持って、町へ向かいました。
「この笠はいかがですか?」
町ではたくさんの人が買い物をしていました。
しかし、なかなか笠を買ってくれる人はいません。
「今日は寒いから、みんな忙しいのかな。」
おじいさんは何度も声をかけました。
けれど、夕方になっても笠は一つも売れませんでした。
「仕方がない。家へ帰ろう。」
おじいさんは重たい気持ちで帰り道を歩きました。
すると、雪がだんだん強く降ってきました。
山道を歩いていると、道の途中に六体のお地蔵さまが立っていました。
お地蔵さまたちは、雪をかぶり、とても寒そうにしています。
おじいさんは立ち止まりました。
「かわいそうに。」
「こんなに雪が降っているのに、寒くないだろうか。」
おじいさんは、自分の持っている笠を見ました。
売れなかった笠が五つ。
そして、自分がかぶっていた笠が一つ。
全部で六つあります。
「これをかぶせてあげよう。」
おじいさんは迷いませんでした。
「お地蔵さま、どうぞ使ってください。」
一体ずつ、笠をかぶせていきました。
最後のお地蔵さまには笠が足りませんでした。
そこで、おじいさんは自分の大切な手ぬぐいを取り出しました。
「これしかありませんが、どうぞ。」
お地蔵さまの頭に優しくかけてあげました。
「これで少しは暖かくなるでしょう。」
おじいさんは笑顔で家へ帰りました。
家に着くと、おばあさんが迎えてくれました。
「おかえりなさい。」
おじいさんは今日あったことを話しました。
「笠は売れなかったけれど、お地蔵さまが寒そうだったから全部あげてきたよ。」
すると、おばあさんは笑いました。
「それは良いことをしましたね。」
「きっとお地蔵さまも喜んでいますよ。」
二人は少ない食べ物を分け合いながら、穏やかに大みそかを過ごしました。
その夜のことです。
外から、
「ドサン。」
「ドサン。」
という音が聞こえてきました。
おじいさんとおばあさんが外を見ると、そこにはたくさんの荷物が置いてありました。
お米や野菜、着るものなど、たくさんの贈り物です。
「これは一体……。」
よく見ると、遠くには六体のお地蔵さまが歩いていく姿が見えました。
おじいさんは気づきました。
「お地蔵さまが、お礼に来てくださったんだ。」
二人は手を合わせました。
「ありがとうございます。」
それから、おじいさんとおばあさんは、必要なものに感謝しながら、幸せに暮らしました。
人に優しくする心は、いつか誰かの心を温かくする。
かさじぞうは、そんな大切なことを教えてくれるお話です。
おしまい。
登場人物
- おじいさん
貧しくても思いやりの心を忘れない優しい人物。 - おばあさん
おじいさんの行動を理解し、支える温かい人物。 - 六体のお地蔵さま
おじいさんの優しさに恩返しをする存在。
教訓
- 見返りを求めない優しさは、人の心を温かくする。
- 困っている相手を思いやる気持ちが大切。
- 物の多さより、心の豊かさが大切。
親子で話したいポイント
- おじいさんはどうして笠をあげたのかな?
- 自分だったら寒そうなお地蔵さまに何をしてあげる?
- 誰かに優しくした経験はある?
保育士向け活用ポイント
- 「思いやり」「奉仕の心」「感謝」を育む教材として活用できます。
- 冬の季節行事や12月の読み聞かせに適しています。
- 劇遊びでは、おじいさん・おばあさん・お地蔵さま役など役割展開がしやすい作品です。


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