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あらすじ
むかしむかし、山あいの村に、一面の白いそばの花が咲く畑がありました。
秋になると、月明かりに照らされたそば畑は、まるで雪が積もったように美しく輝いていました。
村の子どもたちは、その畑にはきつねが遊びに来るという噂を聞いていました。
ある満月の夜、一人の男の子がそば畑で不思議な光景を目にすることになります。
本文
むかしむかし、山に囲まれた小さな村がありました。
村のはずれには、大きなそば畑が広がっていました。
春に種をまき、
夏に青々と育ち、
秋になると白い花が咲きます。
風が吹くたびに花が揺れ、まるで白い波のようでした。
村の人たちはその景色が大好きでした。
「今年もきれいに咲いたなあ。」
みんな足を止めて眺めていました。
その村に、健太という男の子が住んでいました。
健太はおじいさんから、こんな話を聞いたことがありました。
「満月の夜のそば畑には、きつねが遊びに来るんだ。」
「白い花の間を走り回っているらしいよ。」
健太は目を輝かせました。
「本当に?」
おじいさんは笑いました。
「見た人は少ないけどね。」
それからというもの、健太は毎月満月を楽しみにするようになりました。
そして秋のある夜。
大きな満月が空に浮かびました。
健太はそっと家を抜け出し、そば畑へ向かいました。
月明かりを浴びたそば畑は、昼間とはまるで違って見えました。
白い花が銀色に光っています。
風が吹くたびに、さらさらと音がしました。
その時です。
畑の向こうで何かが動きました。
ふわり。
白い影が駆け抜けます。
「きつねだ!」
健太は思わず声を上げました。
すると、一匹のきつねが振り返りました。
月の光を受けた毛並みは金色に輝いています。
きつねは驚いたように健太を見つめました。
けれど逃げません。
しばらくすると、もう一匹。
さらにもう一匹。
気づけば何匹ものきつねがそば畑を走り回っていました。
白い花の中を駆け抜ける姿は、まるで踊っているようです。
健太は夢中になって見ていました。
やがて一匹のきつねが近づいてきました。
そして畑の方を見て、小さく頭を下げました。
まるで、
「今年もありがとう。」
と言っているようでした。
健太は不思議に思いました。
翌日、おじいさんに話すと、おじいさんは笑いました。
「そばの花は山の動物たちの大切な場所でもあるんだ。」
「昔の人は、自然に感謝する気持ちをきつねの姿に重ねたのかもしれないね。」
健太はうなずきました。
それからは畑を見る目が少し変わりました。
人が育てている畑だけれど、
風も、
雨も、
土も、
虫たちも、
動物たちも、
みんなで育てているような気がしたのです。
翌年の秋。
健太はまた満月の夜にそば畑を訪れました。
白い花が風に揺れています。
遠くの方で、ふわりと金色の影が動きました。
健太は小さく手を振りました。
すると風が吹き、
そばの花が一斉に揺れました。
それはまるで、きつねたちが返事をしてくれたようだったそうです。
おしまい。
登場人物
- 健太
好奇心いっぱいの男の子。 - おじいさん
健太にそば畑ときつねの話を聞かせてくれる人物。 - きつねたち
満月の夜のそば畑に現れる不思議な存在。 - 村の人たち
毎年そばを育てて暮らしている人々。
教訓
- 自然の恵みに感謝する心を持つ。
- 人と自然は支え合って生きている。
- 見えないところにも大切なつながりがある。
親子で話したいポイント
- そばの花を育てているのは誰だと思う?
- 自然からもらっているものには何があるかな?
- 夜の自然は昼とどんなところが違うだろう?
保育士向け活用ポイント
- 秋の自然観察や食育活動の導入として活用できます。
- 「食べ物はどこから来るのか」を考えるきっかけになります。
- 月や季節の変化、動物との共生について話し合う活動へ発展できます。


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