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あらすじ
むかしむかし、台所に残されていた一粒のそら豆と、一束のわら、そして一かけらの炭がいました。
ある日、三人はこのままでは燃やされたり食べられたりしてしまうことを知り、遠くの町へ逃げることを決意します。
性格も考え方も違う三人でしたが、力を合わせて旅を続けていきます。
けれど、小さな川を前にして、思わぬ出来事が起こるのでした。
本文
むかしむかし、ある農家の台所に、一粒のそら豆と、一束のわら、そして小さな炭がいました。
そら豆は元気いっぱいでした。
「世界は広いんだろうなあ。」
「いつか見てみたいなあ。」
わらは落ち着いた性格でした。
「外の世界もいいけれど、ここも悪くないと思うよ。」
炭は少し無口でした。
けれど困っている人を見ると放っておけない優しい性格でした。
ある日のことです。
台所でおかみさんが話している声が聞こえてきました。
「この豆は明日のご飯に使いましょう。」
「わらは火を起こすのに使って。」
「炭もそろそろ燃やしましょうか。」
三人は顔を見合わせました。
「大変だ!」
そら豆は飛び上がりました。
わらは言いました。
「ここを出よう。」
炭もうなずきました。
「急ごう。」
三人は夜になるのを待って、そっと家を抜け出しました。
月明かりの下を歩きます。
田んぼを通り、
畑を越え、
森の入り口までやってきました。
そら豆は大喜びです。
「外の世界ってすごい!」
「星もこんなにたくさん見えるんだ!」
わらは笑いました。
「慌てないで歩こう。」
炭は後ろを振り返ります。
「迷わないように気をつけよう。」
しばらく歩くと、小さな川が流れていました。
橋はありません。
三人は困ってしまいました。
その時、わらが言いました。
「私が橋になるよ。」
わらは川に横たわりました。
「これで渡れるはず。」
炭が最初に渡り始めました。
ところが川の真ん中まで来た時です。
炭は下を流れる水を見て急に怖くなりました。
「もし落ちたら消えてしまう。」
炭は足を止めてしまいました。
すると、炭の熱でわらが少しずつ焦げ始めました。
「熱いよ!」
ぱちっ。
わらは燃えて切れてしまいました。
炭は川へ落ちて、
じゅっ。
という音を立てて消えてしまいました。
その様子を見ていたそら豆は、あまりにも驚き、そして少しおかしくなってしまいました。
「あははは!」
「あははは!」
笑いが止まりません。
笑いすぎたそら豆のお腹は、
ぴきっ。
と割れてしまいました。
「いたたた!」
そら豆は泣き出しました。
そこへ通りかかったのは、一人の旅の仕立て屋さんでした。
仕立て屋さんは驚きました。
「どうしたんだい?」
そら豆は事情を話しました。
仕立て屋さんは優しく笑いました。
「それは大変だったね。」
そして針と糸を取り出し、そら豆のお腹を縫ってくれました。
「これで大丈夫。」
そら豆は何度も頭を下げました。
「ありがとう。」
それからというもの、そら豆のお腹には一本の黒い線が残りました。
今でもそら豆を開くと真ん中に黒い筋があります。
それは、昔むかし、笑いすぎてお腹が割れてしまい、優しい仕立て屋さんに縫ってもらった名残なのだと言われています。
そしてそら豆は思いました。
「旅は楽しいことばかりじゃない。」
「でも、誰かに助けてもらうこともあるんだ。」
春になると、そら豆は畑に植えられました。
やがて大きく育ち、たくさんの仲間を実らせたそうです。
おしまい。
登場人物
- そら豆
好奇心旺盛で元気いっぱいな主人公。 - わら
落ち着いていて仲間思いの存在。 - 炭
無口だけれど優しい心を持つ仲間。 - 仕立て屋さん
困っていたそら豆を助ける旅人。
教訓
- 仲間と協力することは大切。
- 勇気を出すことも大切だが、無理をしすぎないことも必要。
- 困った時には助けてくれる人がいる。
親子で話したいポイント
- わらはどうして橋になろうと思ったのかな?
- 炭はなぜ立ち止まってしまったんだろう?
- 自分が困った時、誰に助けを求められるかな?
保育士向け活用ポイント
- 野菜や食べ物への興味を深める食育活動につなげられます。
- 「協力すること」や「助けを求めること」の大切さを話し合う導入になります。
- 実際のそら豆を観察し、黒い筋を探す自然科学遊びにも発展できます。


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