あらすじ
むかしむかし、山の近くの村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんはけがをしていた一羽の雀を見つけ、家へ連れて帰ります。
元気になった雀はおじいさんになつきますが、ある日、おばあさんの大切なのりを食べてしまいました。
怒ったおばあさんに追い出された雀を、おじいさんは山へ探しに出かけます。
そこで待っていたのは、思いがけない出来事でした。
本文
むかしむかし、山あいの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日のこと。
おじいさんが歩いていると、道ばたに一羽の雀がいました。
どうやら羽を痛めているようです。
「おやおや。けがをしているのかい?」
おじいさんは雀をそっと抱き上げ、家へ連れて帰りました。
そして毎日、水や食べ物をあげて大切に世話をしました。
しばらくすると、雀はすっかり元気になりました。
「ちゅん、ちゅん!」
雀はおじいさんになつき、家の中を元気に飛び回ります。
「元気になってよかったなあ。」
おじいさんは嬉しそうに笑いました。
ところが、おばあさんは少し困っていました。
「まったく、家の中を飛び回って。」
ある日、おばあさんは洗濯に使うのりを用意していました。
そこへ雀がやってきました。
雀は、おばあさんが大切にしていたのりを、ぺろりと食べてしまいました。
「まあ! なんてことを!」
おばあさんはかんかんに怒りました。
「もう、うちにはいられません!」
驚いた雀は、山の方へ飛んでいってしまいました。
夕方、おじいさんが帰ってきました。
「雀はどこへ行ったんだい?」
おばあさんから話を聞いたおじいさんは、心配になりました。
次の日、おじいさんは雀を探しに山へ向かいました。
「雀や、雀や。どこにいるんだい?」
山道を歩き、川を渡り、竹林の奥へと進んでいきます。
すると、どこからか声が聞こえてきました。
「おじいさん、こちらです。」
声のする方へ進んでいくと、竹林の中に立派な家がありました。
そこには、たくさんの雀たちが住んでいました。
そして、おじいさんが助けた雀も元気に飛んできました。
「おじいさん、来てくれたんですね。」
雀たちはおじいさんを家の中へ招きました。
おいしいごちそうを用意し、歌や踊りでもてなしてくれます。
おじいさんは楽しい時間を過ごしました。
やがて、帰る時間になりました。
すると雀たちは、二つのつづらを持ってきました。
一つは大きなつづら。
もう一つは小さなつづらです。
「おじいさん、好きな方をお持ちください。」
おじいさんは少し考えてから言いました。
「私は年をとっているから、小さい方をいただこう。」
おじいさんは小さなつづらを背負い、家へ帰りました。
家に着いてつづらを開けてみると――
中から金貨や美しい布、たくさんの宝物が出てきました。
「これはびっくりだ。」
おじいさんは目を丸くしました。
その話を聞いたおばあさんは、自分も雀の家へ行ってみたくなりました。
次の日、おばあさんは山へ向かいました。
竹林の奥まで行くと、雀たちの家を見つけました。
帰る時になると、雀たちはおばあさんにも二つのつづらを見せました。
「大きいつづらと小さいつづら。好きな方をどうぞ。」
おばあさんは、すぐに答えました。
「それなら、大きい方をもらいます。」
おばあさんは大きなつづらを背負って帰り始めました。
ところが、つづらはずっしりと重く、中に何が入っているのか気になって仕方がありません。
「こんなに重いんだから、きっとすごい宝物が入っているに違いない。」
とうとうおばあさんは、家に着く前につづらを開けてしまいました。
すると――
中から、びっくり箱や紙吹雪、お面や太鼓が次々と飛び出してきました。
「うわあ!」
おばあさんは驚いて、しりもちをついてしまいました。
大きなつづらを抱えて帰ってきたおばあさんを見て、おじいさんもびっくり。
二人は顔を見合わせました。
そして、つづらから飛び出したお面や太鼓を見て、思わず笑ってしまいました。
それから二人は、また一緒に暮らしました。
春になると、庭には雀たちが遊びに来たそうです。
おしまい。
登場人物
おじいさん
けがをしていた雀を見つけ、家へ連れて帰って世話をします。
おばあさん
雀が大切なのりを食べてしまったことに怒り、家から追い出してしまいます。
雀
おじいさんに助けられた雀です。
元気になると、おじいさんになついて一緒に暮らします。
雀たち
竹林の奥にある家で暮らしています。
訪ねてきたおじいさんを、歌や踊りでもてなします。
教訓
- 優しくしたことが、思いがけない形で返ってくることがある。
- 欲張りすぎると、思っていた通りにはいかないこともある。
- 感謝の気持ちを忘れない。
親子で話したいポイント
- おじいさんは、どうして雀を家へ連れて帰ったのかな?
- 雀の家では、どんなごちそうが出てきたと思う?
- 自分だったら、大きいつづらと小さいつづらのどちらを選ぶ?
- つづらの中に好きなものを入れられるなら、何を入れたい?
保育士向け活用ポイント
雀の家や大小のつづらなど、子どもが続きを想像しながら楽しみやすいお話です。
「どっちのつづらを選ぶ?」と聞いてから続きを読むと、子どもたちそれぞれの予想を楽しめます。
つづらの中身を自由に考えて絵に描いたり、箱を使って自分だけのつづらを作ったりする製作遊びにも広げられます。
おじいさん、おばあさん、雀など役が分かりやすく、劇遊びにも取り入れやすい作品です。


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