読了時間:約9分
あらすじ
むかしむかし、山の近くの村に、心の優しいおじいさんと、少し怒りっぽいおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんはケガをしていた一羽の雀を助け、家で大切に育てるようになります。
ところが、おばあさんの大切なのりを雀が食べてしまったことで、大きな騒動が起こります。
姿を消した雀を探しに出かけたおじいさんが見つけたものとは――。
本文
むかしむかし、山あいの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんはとても優しい人でした。
畑仕事の帰り道に困っている人を見つけると手伝いをし、小さな虫や鳥の命も大切にしていました。
ある日のこと。
おじいさんは道ばたで、一羽の雀が羽を痛めているのを見つけました。
「どうしたんだい?」
雀は弱々しく鳴いています。
おじいさんはそっと雀を家へ連れて帰りました。
毎日水をあげ、食べ物を分け、優しく世話をしました。
しばらくすると、雀は元気になりました。
「ちゅん、ちゅん!」
雀は家の中を飛び回るようになりました。
おじいさんは嬉しくなりました。
「元気になってよかったなあ。」
けれど、おばあさんは少し困っていました。
「家の中を飛び回ると掃除が大変だよ。」
ある日、おばあさんは洗濯に使う大切なのりを作っていました。
その時です。
雀がやってきて、のりをついばんで食べてしまいました。
おばあさんはびっくりしました。
「なんてことを!」
おばあさんは怒ってしまいました。
「もううちにはいられません!」
驚いた雀は、山の方へ飛んでいってしまいました。
夕方、おじいさんが帰ってきました。
「雀はどこだい?」
事情を聞いたおじいさんは悲しくなりました。
「きっと寂しかっただろうな。」
次の日、おじいさんは雀を探しに山へ向かいました。
「雀や、雀や。」
山道を歩き、
川を渡り、
竹林を抜けていきます。
すると遠くから、
「こちらです。」
という声が聞こえました。
そこには立派な竹林の中の家がありました。
たくさんの雀たちが住んでいます。
そして、元気になったあの雀が飛んできました。
「助けてくれてありがとうございました。」
雀たちはおじいさんを歓迎しました。
おいしい食事を用意し、
歌を歌い、
踊りを見せてくれました。
帰る時間になると、雀たちは二つのつづらを持ってきました。
「大きいつづらと小さいつづらがあります。」
「好きな方をお持ちください。」
おじいさんは言いました。
「私は年をとっているから、小さい方で十分ですよ。」
家へ帰って開けてみると、中には金貨や布、美しい品物が入っていました。
おじいさんは驚きました。
「こんなにたくさん。」
話を聞いたおばあさんは言いました。
「それなら私も行ってみよう。」
次の日、おばあさんも雀の家へ向かいました。
雀たちは歓迎してくれました。
帰る時、雀たちは同じように二つのつづらを差し出しました。
おばあさんは迷わず言いました。
「大きい方をもらいます。」
ところが大きなつづらはとても重く、途中で気になって開けてしまいました。
すると中から飛び出してきたのは――
びっくり箱や紙吹雪、お面や太鼓。
次々と飛び出してきます。
おばあさんは驚いて座り込んでしまいました。
けれど、しばらくすると笑いが込み上げてきました。
「ははは。」
「私は欲張りすぎたんだね。」
家へ帰ると、おじいさんも笑いました。
「大事なのは大きさじゃないんだね。」
それから二人は、分け合いながら仲良く暮らしました。
そして春になると、庭には雀たちが遊びに来るようになったそうです。
おしまい。
登場人物
- おじいさん
動物にも優しく接する心温かい人物。 - おばあさん
少し怒りっぽく欲張りなところがありますが、最後には反省します。 - 雀
おじいさんに助けられた小さな鳥。 - 雀たち
山の家で暮らす仲間たち。
教訓
- 優しさはいつか返ってくる。
- 欲張りすぎると大切なことを見失ってしまう。
- 感謝の気持ちを忘れないことが大切。
親子で話したいポイント
- おじいさんはどうして雀を助けたのかな?
- 「欲張ること」と「頑張ること」はどう違うかな?
- 小さい方を選んだおじいさんは何を大切にしていたんだろう?
保育士向け活用ポイント
- 思いやりや感謝の気持ちを育てる教材として活用できます。
- 「選択すること」や「足るを知ること」を考えるきっかけになります。
- 劇遊びでは雀役やおじいさん、おばあさん役など配役しやすく、発表会にも向いています。


コメント