豆腐小僧(とうふこぞう)

昔話
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あらすじ

むかしむかし、山や森には妖怪が住んでいると信じられていました。

ある夜、旅をしていた男の前に、かわいらしい姿をした妖怪が現れます。

その妖怪は、大きなお盆に豆腐をのせて持っている「豆腐小僧」でした。

人を怖がらせることが苦手な豆腐小僧は、誰かを驚かせたいと思いながらも、なかなかうまくいきません。

やがて男との出会いを通して、自分らしく人と関わることの大切さを知っていきます。


本文

むかしむかし、山の近くの村に、庄助という旅人がいました。

庄助は遠い町へ向かうため、山道を歩いていました。

日が暮れるころ、あたりは暗くなり、鳥の声も聞こえなくなりました。

「今日はこの近くで休むことにしよう。」

庄助が木の下で休んでいると、

ぽん。

ぽん。

と、どこからか足音が聞こえてきました。

「誰だろう?」

庄助が振り返ると、そこには小さな子どものような姿をした者が立っていました。

頭には大きな笠。

手には丸いお盆。

そして、お盆の上には白くて四角いものが乗っています。

「こんばんは。」

小さな者は頭を下げました。

庄助は驚きながら尋ねました。

「君は誰だい?」

すると、その子は胸を張って答えました。

「ぼくは豆腐小僧です。」

「豆腐小僧?」

庄助は首をかしげました。

豆腐小僧は妖怪でした。

しかし、見た目は怖くありません。

牙もありません。

大きな声で脅すこともできません。

ただ、いつも豆腐を持って歩いているだけでした。

「ぼくも立派な妖怪になりたいんだ。」

豆腐小僧は言いました。

「人間をびっくりさせたいんだけど、どうしたらいいか分からないんだ。」

庄助は笑いました。

「怖がらせることだけが妖怪の仕事じゃないんじゃないかな。」

豆腐小僧は不思議そうな顔をしました。

「じゃあ、何をすればいいの?」

庄助は言いました。

「誰かを喜ばせることも、大切なことだよ。」

その夜、豆腐小僧は庄助のそばに座り、いろいろな話をしました。

旅の話。

町の話。

人間の暮らしの話。

豆腐小僧は初めて、人と話す楽しさを知りました。

次の日の朝。

庄助が村へ向かおうとすると、豆腐小僧が言いました。

「これを持って行って。」

お盆の上の豆腐を差し出しました。

「でも、これは君の大切なものじゃないのかい?」

庄助が聞くと、豆腐小僧は笑いました。

「誰かが喜んでくれるなら、それが一番うれしいんだ。」

庄助はありがたく受け取りました。

村へ着いた庄助は、その豆腐を食べました。

すると、とてもおいしい豆腐でした。

村の人たちも驚きました。

「こんなおいしい豆腐は初めてだ。」

その話はたちまち広まりました。

それからというもの、山で豆腐小僧を見かけても、誰も怖がらなくなりました。

「豆腐を持った優しい妖怪がいる。」

そう言って、村人たちは親しみを込めて呼ぶようになりました。

豆腐小僧も、もう無理に人を怖がらせようとはしませんでした。

「ぼくはぼくのままでいいんだ。」

そう思えるようになったのです。

それからも豆腐小僧は山道を歩きながら、

困っている旅人には道を教え、

疲れた人には豆腐を分け、

みんなを笑顔にしていたそうです。

おしまい。


登場人物

  • 豆腐小僧
    豆腐を持ち歩く、優しい妖怪。
  • 庄助
    豆腐小僧の気持ちを理解する旅人。
  • 村人たち
    豆腐小僡を受け入れる人々。

教訓

  • 無理に誰かの真似をする必要はない。
  • 自分の良さを活かすことが大切。
  • 人を喜ばせることは、自分の幸せにもつながる。

親子で話したいポイント

  • 豆腐小僧はどうして怖い妖怪になれなかったのかな?
  • 自分だけの得意なことは何かな?
  • 友だちの良いところを探してみよう。

保育士向け活用ポイント

  • 個性を認め合うことを伝える読み聞かせに適しています。
  • 「みんな違ってみんないい」というテーマにつなげられます。
  • 3〜5歳児の自己肯定感を育む活動にも活用できます。

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