読了時間:約6分
あらすじ
むかしむかし、森で木を切って暮らしている正直なきこりがいました。
ある日、仕事道具の大切な斧を池に落としてしまいます。
困っていると、不思議な女神さまが現れ、金の斧や銀の斧を見せて尋ねました。
「あなたが落としたのは、この斧ですか?」
正直な心が幸せを呼ぶ、世界中で愛されているお話です。
本文
むかしむかし、深い森の近くに、一人のきこりが住んでいました。
きこりは毎日、森へ入って木を切り、その木を町へ運んで暮らしていました。
決して裕福な生活ではありませんでしたが、きこりは仕事を大切にしていました。
「今日も元気に働けることに感謝しよう。」
それがきこりの口ぐせでした。
ある日のことです。
きこりは池の近くで木を切っていました。
「よいしょ。」
「それっ。」
斧を振るたびに、木の香りが森に広がります。
ところが、その時でした。
手が少し滑ってしまい、
ポチャン!
大切な斧が池の中へ落ちてしまったのです。
「しまった!」
きこりは急いで池をのぞきました。
しかし、水は深く、斧は見えません。
「困ったなあ。」
「あの斧がないと仕事ができない。」
きこりは池のほとりに座り込みました。
すると、水面がキラキラと光り始めました。
そして池の中から、美しい女神さまが現れたのです。
「どうしましたか?」
女神さまは優しく尋ねました。
きこりは事情を話しました。
「仕事で使っていた大切な斧を落としてしまいました。」
女神さまはうなずき、池の中へ消えました。
しばらくすると、手にピカピカに輝く金の斧を持って戻ってきました。
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか?」
きこりは驚きました。
とても立派な斧です。
これがあれば、お金持ちになれるかもしれません。
でも、きこりは首を横に振りました。
「いいえ。私の斧ではありません。」
女神さまは微笑みました。
そして、今度は美しく光る銀の斧を持ってきました。
「では、この銀の斧ですか?」
きこりはもう一度答えました。
「いいえ。それも私の斧ではありません。」
女神さまは再び池の中へ戻りました。
そして最後に、使い込まれた鉄の斧を持って現れました。
「では、この斧ですか?」
きこりは顔を明るくしました。
「はい!それです!」
「私の大切な斧です!」
女神さまは嬉しそうに言いました。
「あなたはとても正直な人ですね。」
「正直な心を持つ人には、幸せが訪れます。」
そう言うと、女神さまは鉄の斧だけでなく、金の斧と銀の斧もきこりに渡しました。
きこりは驚きました。
「本当にいただいていいのですか?」
女神さまは笑いました。
「これは、あなたの正直さへの贈り物です。」
きこりは何度もお礼を言いました。
そして、家へ帰って家族に話しました。
家族も大喜びしました。
「正直でいることは大切なんだね。」
その話を聞いた村の男がいました。
「自分も金の斧をもらえるかもしれない。」
男は池へ行き、わざと斧を投げ入れました。
すると、女神さまが現れました。
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか?」
男はすぐに答えました。
「はい!それです!」
しかし、女神さまは悲しそうに言いました。
「本当ではありませんね。」
女神さまは金の斧を持って池へ戻ってしまいました。
男は何も受け取ることができませんでした。
それどころか、自分の斧まで失ってしまいました。
男は反省しました。
「大切なのは、手に入れることではなく、正直でいることだったんだ。」
それから村では、
「正直者には福が来る。」
という言葉が語り継がれるようになりました。
おしまい。
登場人物
- きこり
正直で真面目な働き者の男性。 - 女神さま
池に住み、人々の心を試す存在。 - 村の男
欲張ってしまい、大切なことに気づく人物。
教訓
- 正直でいることは、何より大切。
- 欲張る心は、かえって大切なものを失うことがある。
- 誰かが見ていなくても、正しい行動を選ぶことが大切。
親子で話したいポイント
- もし自分だったら、金の斧を「自分のものです」と言ってしまうかな?
- 正直に言ってよかった経験はある?
- 嘘をついてしまった時、どうしたらいい?
保育士向け活用ポイント
- 「正直さ」「誠実さ」を育てる教材として活用できます。
- ルールや約束を守る意味を考える活動につなげられます。
- 年長児では「なぜ正直でいることが大切なのか」を話し合うきっかけになります。


コメント