あらすじ
むかしむかし、遠い国にアラジンという青年が住んでいました。
アラジンはお母さんと二人で、決して豊かではない暮らしをしていました。
ある日、アラジンの前に不思議な男が現れ、古い洞窟の中にあるランプを取ってきてほしいと頼みます。
洞窟の奥で見つけたのは、一見すると何の変哲もない古びたランプ。
ところが、そのランプをこすると大きな煙とともに魔人が現れ、アラジンの願いをかなえてくれることになります。
魔法の力によって暮らしが変わり、お姫様とも出会ったアラジン。
しかし、ランプの力を狙う男が再び現れたことで、大きな困難に巻き込まれていきます。
「自分で考えること」「勇気を持って行動すること」「人とのつながりの大切さ」を描いた世界の名作です。
本文
むかしむかし、遠い国にアラジンという青年が住んでいました。
アラジンは、お母さんと二人で暮らしていました。
暮らしは決して豊かではありません。
それでもアラジンは明るく、好奇心いっぱいの青年でした。
町へ出れば、にぎやかな市場を歩き、
珍しい品物を眺めたり、
遠い国からやって来た商人たちの話を聞いたりして過ごしていました。
そんなある日のことです。
アラジンが町を歩いていると、一人の見知らぬ男が声をかけてきました。
「君がアラジンだね?」
アラジンは立ち止まりました。
「そうだけど……。」
男はにこやかに言いました。
「私は遠い国から来た商人です。」
「君にお願いしたいことがあるのです。」
男はアラジンを町の外へ連れ出しました。
二人は長い道を歩き、やがて人の姿もほとんどない場所へたどり着きました。
そこには、大きな岩に囲まれた古い洞窟がありました。
男は洞窟を指さして言いました。
「この中に、一つの古いランプがあります。」
「そのランプを取ってきてほしいのです。」
アラジンは不思議に思いました。
「ランプ?」
「そんなものを、どうして?」
けれど男は詳しいことを話しません。
「ほかの宝には触らなくていい。」
「私が欲しいのは、そのランプだけです。」
洞窟の入り口から中をのぞくと、奥は薄暗く、どこまで続いているのか分かりません。
アラジンは少し不安になりました。
それでも勇気を出して、洞窟の中へ入っていきました。
一歩。
また一歩。
奥へ進むにつれて、外の光は少しずつ遠ざかっていきます。
ところが、さらに進んでいくと――。
「わあ……。」
アラジンは思わず声を上げました。
洞窟の中には、たくさんの宝がありました。
きらきらと輝く宝石。
金色に光る品々。
見たこともないほど美しいものが、あちらこちらに置かれています。
けれど、アラジンが探しているのはランプです。
「どこにあるんだろう。」
宝の間を進んでいくと、洞窟の奥に古びたランプが置かれていました。
豪華な宝石に囲まれた中で、そのランプだけは不思議なほど地味に見えました。
「これかな?」
アラジンはランプを手に取りました。
そして来た道を戻り、洞窟の入り口へ向かいました。
やがて外の光が見えてきました。
入り口では、あの男が待っています。
アラジンが近づくと、男の顔つきが変わりました。
「ランプは見つけたか?」
「うん。ここにあるよ。」
すると男は、急に手を伸ばしました。
「早くそのランプを渡しなさい!」
その声は、先ほどまでとはまるで違っていました。
アラジンは思わずランプを胸元へ引き寄せました。
「まず僕を外へ出してくれ。」
「それから渡すよ。」
すると男は怒り出しました。
「今すぐ渡せ!」
アラジンはますます不安になりました。
「いやだ。先に外へ出してくれ。」
男はしばらくアラジンをにらんでいました。
そして――。
突然、洞窟の入り口を閉じてしまったのです。
辺りは真っ暗になりました。
「待って!」
アラジンは入り口へ駆け寄りました。
「開けてくれ!」
けれど、返事はありません。
外から男の声も聞こえなくなりました。
しん……。
洞窟の中には、アラジン一人だけが取り残されてしまいました。
「どうしよう……。」
アラジンは暗闇の中に座り込みました。
出口は閉ざされています。
助けを呼んでも、誰にも届きません。
そのとき、手に持っていた古いランプに触れました。
ランプは土やほこりで汚れています。
「これのせいで、こんなことに……。」
アラジンは何気なくランプをこすりました。
すると――。
シュウウウウッ!
突然、ランプから煙が吹き出しました。
「うわっ!」
アラジンは驚いて後ろへ下がりました。
煙はぐるぐると渦を巻きながら大きくなっていきます。
そして煙の中から、巨大な魔人が姿を現しました。
アラジンは目を丸くしました。
「な、なんだ?」
魔人は大きな声で言いました。
「ご主人様。」
「私はランプの魔人です。」
「あなたの願いをかなえましょう。」
アラジンは信じられないような顔で魔人を見上げました。
「本当に、願いをかなえてくれるの?」
「私にできることなら、何でもお手伝いしましょう。」
アラジンはすぐに言いました。
「それなら、ここから出してほしい!」
すると――。
次の瞬間。
アラジンは洞窟の外に立っていました。
「出られた……!」
アラジンは驚きながら、自分の手にある古いランプを見つめました。
見た目は何の変哲もないランプです。
けれど、その中には不思議な力を持つ魔人がいたのです。
アラジンはランプを大切に持ち帰りました。
それから、アラジンの暮らしは少しずつ変わっていきました。
困ったときには魔人の力を借り、これまでできなかったこともできるようになりました。
そして、ある日。
アラジンは一人のお姫様と出会いました。
お姫様は美しいだけではなく、優しい心を持っていました。
アラジンはお姫様に心を惹かれていきました。
けれど、自分の暮らしを思うと、なかなか気持ちを伝える勇気がありません。
「僕のような者が、お姫様に会いに行ってもいいのだろうか。」
そこでアラジンは、魔人の力を借りました。
立派な姿になり、お姫様の前へ向かいます。
最初は緊張していたアラジンでしたが、お姫様と話をするうちに、少しずつ自分らしく振る舞えるようになりました。
お姫様もまた、アラジンの優しさや誠実さに気づきました。
二人は少しずつ心を通わせ、仲良くなっていきました。
アラジンの暮らしは、以前とは大きく変わりました。
けれど――。
魔法のランプのことを忘れていない者がいました。
あの洞窟で、アラジンからランプを奪おうとした男です。
男はランプが持つ大きな力を知っていました。
「必ず、あのランプを手に入れてやる。」
そして男は再び現れ、ついに魔法のランプを手に入れてしまいました。
男はランプをこすりました。
シュウウウウッ!
煙とともに魔人が現れます。
男は喜びました。
「これで、この力は私のものだ!」
「この力で、すべてを手に入れてやるぞ!」
アラジンはランプを奪われ、大きな困難に直面しました。
これまでなら、困ったときにはランプをこすれば魔人が助けてくれました。
けれど、そのランプはもう手元にありません。
「どうすればいいんだ……。」
アラジンは悩みました。
それでも、諦めることはしませんでした。
「ランプがなくても、僕には考えることができる。」
アラジンは知恵を絞りました。
どうすれば男からランプを取り戻せるのか。
何度も考えました。
そして、勇気を出して行動することにしました。
一人だけの力ではありません。
信じてくれる仲間と力を合わせ、男のもとからランプを取り戻す方法を考えました。
そしてついに――。
アラジンは魔法のランプを取り戻すことができました。
再びランプを手にしたアラジンは、それをじっと見つめました。
この小さなランプは、たくさんの願いをかなえてくれました。
けれど、ランプを奪われたときに自分を助けたのは、魔法ではありませんでした。
諦めずに考えたこと。
勇気を出して行動したこと。
そして、自分を信じて力を貸してくれた人たちがいたこと。
アラジンはランプを大切にしまいました。
それからは魔法だけに頼ることなく、自分で考え、周りの人を大切にしながら暮らしていきました。
そしてお姫様とともに、幸せな日々を過ごしたのでした。
おしまい。
登場人物
アラジン
お母さんと二人で暮らす、明るく好奇心旺盛な青年です。魔法のランプを手に入れたことで暮らしが大きく変わりますが、困難に直面する中で、自分で考え行動することの大切さを知っていきます。
ランプの魔人
魔法のランプから現れる、大きな力を持った不思議な存在です。ランプを持つ者の願いをかなえます。
お姫様
アラジンが出会う心優しいお姫様です。立派な姿だけではなく、アラジンの優しさや誠実さに気づき、少しずつ心を通わせていきます。
魔法使い
魔法のランプが持つ力を知り、それを自分のものにしようとする人物です。アラジンを洞窟へ向かわせ、のちに再び現れてランプを奪います。
教訓
- 力や財産だけでは、本当の幸せを手に入れることはできない。
- 困ったときこそ、諦めずに自分で考え、行動することが大切。
- 大きな力を持っていても、それをどのように使うかが大切。
- 信じ合える人とのつながりや、相手を思いやる心は大きな力になる。
親子で話したいポイント
- もし魔法のランプがあったら、どんなお願いをしたい?
- アラジンは、魔法の力だけで幸せになったのかな?
- ランプを奪われたとき、アラジンはどうして諦めなかったのだろう?
- 魔法ではかなえられない大切なものには、何があると思う?
- 困ったとき、自分だったらどんな方法を考える?
保育士向け活用ポイント
「魔法で何でもできるとしたら」という想像を楽しむ一方で、「魔法がなくても自分でできることは何だろう」と考える活動へ発展させることもできます。
「想像力」「問題解決力」「自分で考えること」を育む読み聞かせの題材として活用できます。
「もし魔法のランプがあったら、何をお願いする?」という問いから、子どもたちが自由に想像し、自分の考えを言葉や絵で表現する活動につなげられます。
魔法のランプを題材にした製作遊びやごっこ遊びなど、物語の世界を広げる表現活動とも相性のよい作品です。
アラジンがランプを失ったあと、自分で考えて行動する場面から、「困ったときにどうするか」を子どもたちと考えることができます。
保育では、すぐに答えや方法を教えるのではなく、子ども自身が考え、試し、失敗し、もう一度工夫する経験を保障することが主体性につながります。


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