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あらすじ
むかしむかし、山あいの村に心の優しい男の子が住んでいました。
ある雨の日、男の子は大きな蜘蛛の巣を壊そうとしていた子どもたちを止め、小さな蜘蛛を助けます。
それからしばらくして、男の子の家に不思議な出来事が起こり始めます。
助けた優しさが、思いがけない形で返ってくるお話です。
本文
むかしむかし、山と川に囲まれた小さな村に、ゆうたという男の子が住んでいました。
ゆうたは働き者のお父さんとお母さんのお手伝いをする優しい子でした。
畑に水をあげたり、薪を運んだり、近所のお年寄りの荷物を持ってあげたりしていました。
ある雨上がりの日のことです。
ゆうたが神社の近くを歩いていると、木の枝に大きな蜘蛛の巣が張られていました。
朝露を受けて、蜘蛛の巣はまるで宝石のように光っています。
すると、近くで遊んでいた子どもたちが言いました。
「棒で壊してみよう!」
「きっと面白いぞ!」
みんなが枝を持ち上げた時、ゆうたが言いました。
「待って。」
「せっかく一生懸命作ったんだから、壊したらかわいそうだよ。」
子どもたちは少し考えました。
「そうだね。」
「じゃあ、そのままにしておこう。」
木の上では、小さな蜘蛛が静かに動いていました。
まるでお礼を言っているようでした。
それから数日後のことです。
ゆうたの家では困ったことが起きていました。
お父さんが風邪をひいてしまい、畑の仕事が思うように進まなかったのです。
「このままだと収穫が遅れてしまうな。」
お母さんも心配そうです。
その夜、ゆうたが眠っていると、家の外でカタカタと音がしました。
朝になると、不思議なことが起きていました。
畑の草がきれいに抜かれていたのです。
「誰がやってくれたんだろう。」
次の日の朝には、薪がきれいに積まれていました。
その次の日には、水くみの桶までいっぱいになっていました。
家族は驚きました。
「誰かが手伝ってくれているのかな。」
でも、誰も名乗り出る人はいません。
ある晩、ゆうたは眠らずに窓の外を見ていました。
すると月明かりの下で、小さな影が動いています。
よく見ると、それはたくさんの蜘蛛たちでした。
蜘蛛たちは細い糸を使って薪を運び、小さな足で畑の草を抜いていたのです。
その真ん中には、あの日助けた蜘蛛がいました。
ゆうたは驚きました。
「あの時の蜘蛛だ。」
蜘蛛は月明かりの中で、ゆっくり頭を下げました。
まるで、
「助けてくれてありがとう。」
と言っているようでした。
次の朝、ゆうたは家族に話しました。
けれど、お父さんもお母さんも信じられない様子です。
「そんな不思議なことがあるのかい?」
ゆうたは笑いました。
「本当なんだよ。」
「優しくすると、優しさが返ってくるんだ。」
やがてお父さんの風邪も治り、畑は無事に収穫の時を迎えました。
家族はたくさんの野菜を収穫することができました。
ゆうたは神社の木の下へ行きました。
そして静かに言いました。
「ありがとう。」
すると風が吹き、木の枝が優しく揺れました。
蜘蛛の姿はもうありません。
けれど、ゆうたは知っていました。
優しさは消えてなくなるものではありません。
誰かを助けた気持ちは、いつか別の形になって戻ってくることがあるのです。
それからゆうたは、大人になっても困っている人を助け続けたそうです。
おしまい。
登場人物
- ゆうた
小さな命を大切にする優しい男の子。 - 蜘蛛
ゆうたに助けられた小さな命。 - お父さん
働き者ですが、風邪をひいてしまいます。 - お母さん
家族を支える優しいお母さん。
教訓
- 小さな命も大切にする心を持つこと。
- 優しさは巡り巡って返ってくる。
- 誰かを思いやる行動は無駄にならない。
親子で話したいポイント
- ゆうたはどうして蜘蛛を助けたのかな?
- 小さな生き物にも命があるってどういうことだろう?
- 誰かに優しくしてもらった経験はあるかな?
保育士向け活用ポイント
- 命の大切さや生き物への思いやりを考えるきっかけになります。
- 虫や自然への興味を広げる導入教材として活用できます。
- 「優しさの連鎖」をテーマにした話し合い活動にもつなげられます。


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