三枚のお札(さんまいのおふだ)

昔話
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あらすじ

むかしむかし、山のふもとのお寺に、元気いっぱいだけれど少し落ち着きのない小僧さんがいました。

ある日、小僧さんは和尚さんに頼まれて山へ栗拾いに出かけます。

夢中で栗を拾っているうちに道に迷い、山奥の一軒家へたどり着きました。

親切そうなおばあさんに泊めてもらうことになりますが、そのおばあさんには大きな秘密があったのです。

和尚さんから預かった三枚のお札が、小僧さんを助けてくれるのでした。


本文

むかしむかし、山のふもとのお寺に、小僧さんと和尚さんが住んでいました。

小僧さんは働き者でしたが、楽しいことが大好きでした。

ある秋の日のことです。

和尚さんが言いました。

「山へ栗を拾いに行ってきてくれないか。」

「でも、あまり山奥へ行ってはいけないよ。」

小僧さんは元気よく返事をしました。

「はい、和尚さん!」

そして和尚さんは、小さなお札を三枚渡しました。

「もし困ったことが起きたら、このお札を使いなさい。」

小僧さんは不思議に思いましたが、大切に懐へしまいました。

山へ入ると、たくさんの栗が落ちています。

「あっ、こっちにも!」

「あっちにもある!」

小僧さんは夢中になって拾いました。

気がつくと、周りは見たことのない景色になっていました。

「しまった。」

「道に迷ってしまった。」

その時です。

遠くに一軒の家が見えました。

小僧さんが戸をたたくと、一人のおばあさんが出てきました。

「まあまあ、こんな時間に山の中とは大変だったね。」

「今夜は泊まっていきなさい。」

小僧さんはほっとしました。

「ありがとうございます。」

おばあさんは温かいご飯を用意してくれました。

けれど夜になると、小僧さんは隣の部屋から聞こえてくる声に気づきました。

「明日の朝になったら食べてしまおうかねえ。」

小僧さんは驚きました。

そっとのぞいてみると、おばあさんの姿が大きな鬼のような山姥へ変わっていたのです。

「大変だ!」

小僧さんは急いで逃げ出しました。

山姥も後ろから追いかけてきます。

「待てー!」

小僧さんは和尚さんのお札を思い出しました。

一枚目のお札を後ろへ投げます。

すると――

ざああああっ!

大きな川が現れました。

山姥は川を渡るのに時間がかかります。

その間に小僧さんは走りました。

けれど、山姥はまた追いかけてきます。

「逃がさないよ!」

小僧さんは二枚目のお札を投げました。

すると今度は、大きな山が現れました。

高い山です。

山姥は必死によじ登ります。

小僧さんはその間にまた逃げました。

ところが山姥は、とうとう追いついてきました。

「もうだめだ!」

小僧さんは最後のお札を投げました。

すると今度は、燃える炎の壁が現れました。

山姥はそれ以上進むことができません。

小僧さんは一生懸命走り、お寺へ帰りました。

「和尚さん!」

和尚さんは安心した顔をしました。

「無事だったか。」

小僧さんは今までの出来事を全部話しました。

和尚さんは静かに言いました。

「人の言葉を聞くことも大切だ。」

「でも、困った時に落ち着いて知恵を使うことも大切なんだよ。」

小僧さんは深くうなずきました。

「あんなに山奥まで行かなければよかった。」

和尚さんは笑いました。

「失敗から学べば、それは大切な経験になる。」

それから小僧さんは前より少しだけ慎重になりました。

けれど、栗拾いが好きなことは変わりませんでした。

今度はちゃんと帰り道を確認してから山へ入ったそうです。

おしまい。


登場人物

  • 小僧さん
    元気いっぱいで好奇心旺盛な少年。
  • 和尚さん
    小僧さんを見守る優しい住職。
  • 山姥(やまんば)
    山奥に住む不思議な存在。
  • 三枚のお札
    小僧さんを助ける大切なお守り。

教訓

  • 人の忠告には大切な意味がある。
  • 困った時こそ落ち着いて考えることが大切。
  • 失敗から学ぶことで人は成長できる。

親子で話したいポイント

  • 小僧さんはどうして道に迷ってしまったのかな?
  • 困った時、どんな行動をするといいかな?
  • 誰かのアドバイスを聞いて助かった経験はある?

保育士向け活用ポイント

  • 「安全教育」や「約束を守ること」の導入教材として活用できます。
  • 散歩や園外活動の前に読むことで、安全意識を育てるきっかけになります。
  • 劇遊びにすると、お札が川や山に変わる場面で子どもたちが盛り上がりやすい題材です。

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