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あらすじ
むかしむかし、知恵自慢の殿様が治める国がありました。
殿様は「この国で一番賢い者を探そう」と考え、村人たちに次々と難しい問題を出します。
大人たちが頭を抱える中、一人の小さな男の子だけは、柔らかな発想で答えを見つけていきます。
知識だけではなく、「考える力」の大切さを教えてくれる昔話です。
本文
むかしむかし、ある国に知恵者として有名な殿様がいました。
殿様は家来たちによく言っていました。
「力がある者も立派だ。」
「だが、本当に国を豊かにするのは知恵のある者だ。」
ある日、殿様は国中にお触れを出しました。
「誰でもよい。この問題を解けた者には褒美を与える。」
最初の問題はこうでした。
「穴の開いていない縄で、大きな木をしばる方法を考えよ。」
村人たちは困りました。
「縄に穴なんてないぞ。」
「どうやって結ぶんだ?」
何日考えても答えは出ません。
そこへ、一人の男の子がやって来ました。
「ぼく、やってみてもいい?」
家来たちは笑いました。
「大人でも分からないのに、お前にできるものか。」
しかし殿様は言いました。
「やらせてみよう。」
男の子は縄を木の周りに何度も巻き付けました。
最後は木と縄の間に枝を差し込み、くるくる回します。
すると縄はぴんと張り、木にしっかり固定されました。
「なるほど!」
殿様は感心しました。
「結ぶだけが方法ではないのだな。」
次の日。
殿様はさらに難しい問題を出しました。
「風を袋に入れて持って来い。」
家来たちは笑いました。
「そんなことできるはずがない。」
ところが男の子は袋を持って丘へ行きました。
風が強く吹いた瞬間、
袋の口を大きく開き、
すぐに閉じました。
そして殿様の前で口を開けると、
ふわり。
風が顔に当たりました。
「確かに風を運んできたな。」
殿様は大笑いしました。
最後の問題です。
「一番重いものを持って来い。」
力自慢の男は大きな石を運びました。
農家は米俵を持って来ました。
鍛冶屋は鉄の塊を運びました。
けれど男の子は何も持ってきません。
殿様が尋ねました。
「お前の答えは?」
男の子は言いました。
「人の約束です。」
殿様は首をかしげます。
「約束は目に見えません。」
男の子は答えました。
「でも約束を守る責任は、とても重いです。」
「約束を破れば、人は信用を失います。」
「だから一番重いものは約束だと思います。」
広間は静まり返りました。
家来たちは顔を見合わせます。
殿様はゆっくり立ち上がりました。
「見事だ。」
「お前は知識ではなく、心で考えた。」
殿様は男の子に立派な筆と本を贈りました。
「これからもっと学び、人々の役に立つ人になりなさい。」
男の子は深く頭を下げました。
「ありがとうございます。」
その後、男の子は勉強を続け、困っている人の相談に乗る賢い役人になったと言われています。
村の子どもたちは、
「分からないことがあったら、いろいろな角度から考えてみよう。」
そう教えられながら育ちました。
そしてこの国では、
「知恵とは、人を助けるために使うもの。」
という言葉が長く語り継がれたそうです。
おしまい。
登場人物
- 男の子
柔軟な発想で難問を解いていく主人公。 - 殿様
知恵を大切にし、国中から賢い人を探していた領主。 - 家来たち
男の子の答えに驚き、その知恵を認める人々。
教訓
- 知識だけでなく、柔軟に考えることが大切。
- 本当の知恵は人を助けるために使うもの。
- 約束や信用は、お金よりも価値がある。
親子で話したいポイント
- もし自分なら、どんな答えを考える?
- 「約束が重い」とはどういう意味だろう?
- 困ったとき、どんなふうに考えると新しい答えが見つかるかな?
保育士向け活用ポイント
- 子どもたちの「考える力」や発想力を育む読み聞かせに適しています。
- 読み聞かせ後に「○○だったらどうする?」というクイズ遊びへ発展できます。
- 正解が一つではないことや、友だちの考えを認め合うことを学ぶきっかけにもなります。


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