読了時間:約6分
あらすじ
むかしむかし、隣同士の村に「日本一のけち」と言われる二人の男がいました。
二人は「自分の方が節約上手だ」と言い張り、次々とけち自慢を始めます。
しかし、競争が進むにつれて、大切なことを忘れていることに気づいていきます。
笑いながら「本当に大切な豊かさとは何か」を考える昔話です。
本文
むかしむかし、山のふもとの村に、そうべえという男が住んでいました。
そうべえは働き者でしたが、とても節約家でした。
古くなった服は何度もつくろって着ます。
紙も両面を使います。
ろうそくも最後の最後まで使い切ります。
村の人たちは言いました。
「そうべえさんは、ものを大切にする人だね。」
ところが、隣の村にはごんすけという男がいました。
ごんすけも負けないくらいの節約家でした。
茶碗のご飯粒を一つも残しません。
縄も切れたところを結び直して使います。
薪も小さくなってから最後まで燃やします。
ある日、旅人が二人の話を聞きました。
「どちらが日本一の節約家なんだろう。」
その話はあっという間に広がりました。
そうべえは言いました。
「私の方が節約上手だ。」
ごんすけも言いました。
「いや、私の方だ。」
こうして二人の「けちくらべ」が始まりました。
最初にそうべえが言いました。
「私はろうそくを短くなるまで使う。」
するとごんすけが言いました。
「私は昼間は窓を開けて、明かりを使わない。」
村の人たちは、
「なるほど。」
とうなずきました。
次にそうべえが言いました。
「私は着物を何度も直して使う。」
ごんすけは言いました。
「私は兄の着物を弟へ、その次は雑巾にして使う。」
みんなは感心しました。
ところが、だんだん競争は変な方向へ向かいます。
そうべえは言いました。
「おかずは匂いだけでご飯を食べる。」
ごんすけは言いました。
「私はおかずの絵を見ながら食べる。」
村人たちは笑いました。
「それではお腹がすいてしまうよ。」
二人はまだ続けます。
「私はお茶の葉を三回使う。」
「私は五回使う。」
「私は穴のあいた靴を履く。」
「私は裸足で歩く。」
ついに二人とも疲れてしまいました。
その時、近くで遊んでいた子どもたちが、おにぎりを分け合って食べていました。
「半分こしよう。」
「ありがとう。」
その笑顔を見た二人は黙りました。
そうべえが言いました。
「私は節約をすることが大切だと思っていた。」
ごんすけも言いました。
「でも、分け合うことも同じくらい大切なんだね。」
二人は顔を見合わせて笑いました。
それから二人は、ものを大切に使いながらも、困っている人には進んで分けてあげるようになりました。
村の人たちは言いました。
「本当の豊かさは、たくさん持つことではない。」
「大切に使い、必要な時に分け合うことなんだ。」
それから村では、ものを大切にする心と、人を思いやる心が受け継がれていったそうです。
おしまい。
登場人物
- そうべえ
ものを大切に使う節約家の男性。 - ごんすけ
負けず嫌いな節約家の男性。 - 村人たち
二人の競争を見守る人々。 - 子どもたち
分け合うことの大切さを気づかせる存在。
教訓
- ものを大切にすることは大事。
- 節約とけちは違う。
- 分け合うことや助け合うことも大切。
親子で話したいポイント
- 「節約」と「けち」の違いは何だろう?
- ものを大切に使うためにできることはある?
- 誰かと分け合って嬉しかった経験はある?
保育士向け活用ポイント
- SDGsや物を大切に使う保育活動の導入に活用できます。
- 食育やエコ活動と関連づけて展開できます。
- 「貸して」「どうぞ」など、共有や譲り合いについて考えるきっかけになります。


コメント