月のうさぎ(つきのうさぎ)

昔話
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あらすじ

むかしむかし、深い森で仲良く暮らす、うさぎ、きつね、さるの三匹がいました。

ある日、年老いた旅人が食べ物を求めて森へやって来ます。

きつねは魚を、さるは木の実を集めてきますが、うさぎだけは何も見つけることができません。

それでも旅人を助けたいと思ったうさぎは、自分にできる精一杯のことを考えます。

その優しさに心を打たれた旅人は、実は天の神様でした。


本文

むかしむかし、山の奥深くに、美しい森がありました。

その森には、うさぎと、きつねと、さるが仲良く暮らしていました。

三匹は毎日一緒に遊び、一緒に食べ物を探し、困ったときには助け合う友だちでした。

ある秋の日のことです。

空は高く澄み、夜になると丸い満月が輝いていました。

その日の朝、一人の年老いた旅人が森へやって来ました。

旅人は長い旅を続けていたため、とてもお腹をすかせていました。

「どなたか、食べ物を分けてはくださいませんか。」

旅人は静かに頭を下げました。

最初に動いたのはきつねです。

「待っていてください。」

きつねは川へ走り、しばらくすると大きな魚をくわえて戻ってきました。

「どうぞ召し上がってください。」

旅人は笑顔で受け取りました。

次にさるが山へ登ります。

赤い木の実や甘い栗、熟した柿をたくさん集めて帰ってきました。

「これならお腹いっぱいになりますよ。」

旅人は何度もお礼を言いました。

最後はうさぎの番です。

うさぎは野原を走り回りました。

草むらを探し、

林を歩き、

川辺まで行きました。

けれど、うさぎが食べる草はたくさんあっても、人が食べられるものは見つかりません。

「どうしよう。」

「何も渡せない。」

うさぎは悲しくなりました。

旅人を助けたい。

でも、自分には何もない。

しばらく考えたうさぎは、大きく息を吸いました。

そして旅人に言いました。

「枯れ枝を集めて火をつけてください。」

旅人は不思議そうにしながらも、言われた通り火をおこしました。

火はぱちぱちと音を立てながら燃え始めます。

うさぎは静かに笑いました。

「私は人が食べられる物を持っていません。」

「だから、私自身を食べてください。」

そう言うと、うさぎは火の中へ飛び込もうとしました。

その瞬間でした。

旅人が手を伸ばし、うさぎを抱き止めました。

「もう十分だ。」

旅人の姿がまぶしい光に包まれます。

すると、年老いた旅人の姿は消え、白く輝く神様が現れました。

きつねも、さるも驚いてひざまずきます。

神様は優しく言いました。

「私は、お前たちの心を試していたのだ。」

「きつねは自分にできることをした。」

「さるも精一杯力を尽くした。」

「そしてうさぎは、自分よりも人を思う心を見せてくれた。」

神様はうさぎを見つめました。

「命は何よりも大切だ。」

「だから命を捨ててはいけない。」

「しかし、その優しさは永遠に忘れられてはならない。」

そう言うと神様は、うさぎをふわりと抱き上げました。

空高く昇り、

丸い満月の中へ連れて行きました。

その日から、月にはうさぎの姿が映るようになったと言われています。

うさぎは月の上で、もちをついたり、人々の幸せを見守ったりしているそうです。

秋の夜、満月を見上げると、

今でもうさぎがぺったん、ぺったんとおもちをついているように見えるのは、そのためだと言われています。

きつねも、さるも、夜空を見上げるたびに友だちを思い出しました。

そして森のみんなも、

「優しさは、誰かの心にずっと残る。」

そう語り継ぐようになりました。

おしまい。


登場人物

  • うさぎ
    思いやりが深く、自分よりも相手を大切に考える主人公。
  • きつね
    川で魚を捕り、旅人に食べ物を届ける友だち。
  • さる
    木の実や果物を集めて旅人を助ける友だち。
  • 神様(旅人)
    動物たちの優しさを試すため、旅人に姿を変えて現れる。

教訓

  • 本当の優しさは、相手を思いやる心から生まれる。
  • 人にはそれぞれ「できること」があり、それを精一杯行うことが大切。
  • 命は何よりも尊く、大切にしなければならない。

親子で話したいポイント

  • うさぎはどうして自分を差し出そうとしたのかな?
  • 自分にできる「優しさ」にはどんなものがあるかな?
  • 月を見ると、うさぎは何をしているように見える?

保育士向け活用ポイント

  • 思いやりや命の大切さについて考える読み聞かせに適しています。
  • お月見(十五夜)の行事や、日本の伝統文化を学ぶ導入として活用できます。
  • 読み聞かせ後に「月には何が見えるかな?」と月の模様を観察したり、お月見制作へ発展させたりする活動にもつなげられます。

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