読了時間:約9分
あらすじ
むかしむかし、山の中にたくさんの虫や動物が暮らしていました。
その中に、どんな病気やけがも治してしまうという「むかでのお医者さん」がいました。
たくさんの足を持つむかでだからこそできる仕事もありましたが、最後には自分自身の弱点に気づくことになります。
「誰にでも得意なことと苦手なことがある」ということを教えてくれる昔話です。
本文
むかしむかし、深い森の中に、虫や動物たちが仲良く暮らしていました。
森には小さな病院がありました。
そこでは、むかでのお医者さんが働いていました。
むかで先生は、とても評判の良いお医者さんでした。
けがをした虫が来れば、
「大丈夫ですよ。」
と言って手当てをしてくれます。
病気になった動物が来れば、
「ゆっくり休めば元気になりますよ。」
と優しく声をかけます。
森のみんなは言いました。
「むかで先生は、本当に頼りになるね。」
なぜなら、むかでにはたくさんの足があったからです。
薬を運ぶことも、
道具を持つことも、
素早く動くことも、
他の動物にはできないことができました。
ある日のこと。
森の奥で小さなうさぎが転んで、足を痛めました。
「痛いよ……。」
うさぎが泣いていると、むかで先生が駆けつけました。
「大丈夫。」
「すぐに治してあげますよ。」
むかで先生は丁寧に手当てをしました。
すると、うさぎは少しずつ元気になりました。
「ありがとう、先生!」
うさぎは喜びました。
森のみんなも拍手しました。
「さすが、むかで先生!」
ところが、ある日のこと。
むかで先生自身が困ってしまいました。
病院へ向かう途中、道に大きな石が落ちていました。
「これは困った。」
むかで先生は石をどけようとしました。
でも、何度押しても動きません。
たくさん足があっても、重たいものを動かす力には限界がありました。
そこへ、力持ちのくまが通りかかりました。
「どうしたんだい?」
むかで先生が事情を話すと、くまは簡単に石を動かしました。
「ありがとう。」
むかで先生はお礼を言いました。
その時、気づきました。
「私は何でもできると思っていたけれど、できないこともあるんだな。」
くまは言いました。
「でも、先生には先生にしかできないことがあるよ。」
「みんな違う力を持っているんだ。」
むかで先生は笑いました。
「そうだね。」
「私には治す力がある。くまさんには力がある。」
「それぞれの得意なことで助け合えばいいんだ。」
それから森の動物たちは、ますます仲良くなりました。
むかで先生は今まで以上に優しいお医者さんになりました。
自分の力を誇るのではなく、
仲間の力も認めながら、
みんなで助け合って暮らしたそうです。
おしまい。
登場人物
- むかで先生
優しくて頼りになる森のお医者さん。 - うさぎ
むかで先生に助けてもらう動物。 - くま
力を使ってむかで先生を助ける仲間。
教訓
- 誰にでも得意なことと苦手なことがある。
- 人と比べるのではなく、自分の良さを活かすことが大切。
- 助け合うことで大きな力になる。
親子で話したいポイント
- むかで先生の得意なことは何だったかな?
- くまさんの得意なことは何だったかな?
- 自分の得意なことは何だろう?
保育士向け活用ポイント
- 「個性を認める」「友だちと協力する」ことを伝える教材になります。
- 役割遊びやごっこ遊びに発展しやすい題材です。
- 「みんな違ってみんないい」という多様性の学びにつなげられます。


コメント