むかでの医者(むかでのいしゃ)

日本の昔話
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あらすじ

むかしむかし、山の中にたくさんの虫や動物が暮らしていました。

その中に、どんな病気やけがも治してしまうという「むかでのお医者さん」がいました。

たくさんの足を持つむかでだからこそできる仕事もありましたが、最後には自分自身の弱点に気づくことになります。

「誰にでも得意なことと苦手なことがある」ということを教えてくれる昔話です。


本文

むかしむかし、深い森の中に、虫や動物たちが仲良く暮らしていました。

森には小さな病院がありました。

そこでは、むかでのお医者さんが働いていました。

むかで先生は、とても評判の良いお医者さんでした。

けがをした虫が来れば、

「大丈夫ですよ。」

と言って手当てをしてくれます。

病気になった動物が来れば、

「ゆっくり休めば元気になりますよ。」

と優しく声をかけます。

森のみんなは言いました。

「むかで先生は、本当に頼りになるね。」

なぜなら、むかでにはたくさんの足があったからです。

薬を運ぶことも、

道具を持つことも、

素早く動くことも、

他の動物にはできないことができました。

ある日のこと。

森の奥で小さなうさぎが転んで、足を痛めました。

「痛いよ……。」

うさぎが泣いていると、むかで先生が駆けつけました。

「大丈夫。」

「すぐに治してあげますよ。」

むかで先生は丁寧に手当てをしました。

すると、うさぎは少しずつ元気になりました。

「ありがとう、先生!」

うさぎは喜びました。

森のみんなも拍手しました。

「さすが、むかで先生!」

ところが、ある日のこと。

むかで先生自身が困ってしまいました。

病院へ向かう途中、道に大きな石が落ちていました。

「これは困った。」

むかで先生は石をどけようとしました。

でも、何度押しても動きません。

たくさん足があっても、重たいものを動かす力には限界がありました。

そこへ、力持ちのくまが通りかかりました。

「どうしたんだい?」

むかで先生が事情を話すと、くまは簡単に石を動かしました。

「ありがとう。」

むかで先生はお礼を言いました。

その時、気づきました。

「私は何でもできると思っていたけれど、できないこともあるんだな。」

くまは言いました。

「でも、先生には先生にしかできないことがあるよ。」

「みんな違う力を持っているんだ。」

むかで先生は笑いました。

「そうだね。」

「私には治す力がある。くまさんには力がある。」

「それぞれの得意なことで助け合えばいいんだ。」

それから森の動物たちは、ますます仲良くなりました。

むかで先生は今まで以上に優しいお医者さんになりました。

自分の力を誇るのではなく、

仲間の力も認めながら、

みんなで助け合って暮らしたそうです。

おしまい。


登場人物

  • むかで先生
    優しくて頼りになる森のお医者さん。
  • うさぎ
    むかで先生に助けてもらう動物。
  • くま
    力を使ってむかで先生を助ける仲間。

教訓

  • 誰にでも得意なことと苦手なことがある。
  • 人と比べるのではなく、自分の良さを活かすことが大切。
  • 助け合うことで大きな力になる。

親子で話したいポイント

  • むかで先生の得意なことは何だったかな?
  • くまさんの得意なことは何だったかな?
  • 自分の得意なことは何だろう?

保育士向け活用ポイント

  • 「個性を認める」「友だちと協力する」ことを伝える教材になります。
  • 役割遊びやごっこ遊びに発展しやすい題材です。
  • 「みんな違ってみんないい」という多様性の学びにつなげられます。

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