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あらすじ
むかしむかし、三人兄弟の末っ子が、不思議な老人との出会いをきっかけに金色に輝くがちょうを手に入れました。
そのがちょうの羽には、触れた人が次々とくっついて離れなくなる不思議な力がありました。
やがて、その不思議な出来事が、笑うことを忘れてしまったお姫さまの運命を大きく変えていきます。
「人に優しくすること」「欲張らず、思いやりを持つこと」の大切さを伝える世界の名作です。
本文
むかしむかし、ある村に三人兄弟が暮らしていました。
上の二人は何でも自分が一番だと思っていました。
でも、末っ子はいつも穏やかで、人に優しく接する男の子でした。
ある日、お父さんが言いました。
「森へ木を切りに行ってきておくれ。」
最初に出かけたのは長男でした。
森の中で、お腹をすかせた老人が声をかけました。
「少し食べ物を分けてもらえませんか。」
長男は首を振りました。
「自分の分しかない。」
そう言って行ってしまいました。
次男も同じように断ってしまいました。
最後に森へ向かったのは末っ子でした。
すると、また老人が現れました。
「少しだけ食べ物を分けてもらえませんか。」
末っ子はにっこり笑って言いました。
「もちろんです。」
「一緒に食べましょう。」
老人はとても喜びました。
「ありがとう。」
「お礼に、この森の古い木を切ってごらん。」
末っ子が言われた通りにすると、
木の根元から、一羽の金色に輝くがちょうが現れました。
「わあ、なんてきれいなんだ!」
末っ子は大切に抱えて町へ向かいました。
その夜、宿屋へ泊まることになりました。
宿屋の娘たちは、
「金の羽を一本もらえたら素敵ね。」
と話し合いました。
一人が羽を抜こうとすると……
ぺたり。
手がくっついてしまいました。
助けようとした二人目も、
ぺたり。
三人目も、
ぺたり。
みんな離れなくなってしまいました。
翌朝、末っ子は何も知らずに歩き始めます。
後ろには娘たちがつながったまま歩いています。
その様子を見た村の人たちも、
「どうしたんだ?」
と助けようとして、
ぺたり。
ぺたり。
次々につながってしまいました。
気がつくと、大行列になっていました。
その行列は、お城の前を通りました。
お城には、一度も笑ったことがないお姫さまがいました。
窓から行列を見たお姫さまは、
思わず、
「ふふっ!」
と笑いました。
そして、
「あははは!」
と大笑いしました。
王様は驚きました。
「お姫さまが笑った!」
王様はとても喜びました。
「お姫さまを笑顔にしてくれた人へ、お礼をしよう。」
末っ子は特別なことをしたつもりはありませんでした。
ただ、人に親切にしただけでした。
王様はその優しい心を大切に思いました。
お姫さまも言いました。
「あなたといると、自然に笑顔になれます。」
それから二人は、人々を大切にしながら幸せに暮らしました。
金のがちょうは、今日も誰かの優しい心を見守っていると言われています。
おしまい。
登場人物
末っ子
心優しく、誰にでも親切に接する主人公。老人との出会いによって不思議ながちょうを手に入れます。
金のがちょう
金色に輝く不思議ながちょう。羽に触れた人は離れなくなる力を持っています。
老人
困っている人を試し、優しい心を持つ末っ子へご褒美を授ける不思議な人物です。
お姫さま
長い間笑うことができませんでしたが、不思議な行列を見て笑顔を取り戻します。
王様
お姫さまの笑顔を誰よりも願っている優しい王様です。
教訓
- 親切にしたことは、思いがけない幸せにつながることがある。
- 人を思いやる心は、笑顔を生み出す力になる。
- 本当の豊かさは、お金ではなく優しい心の中にある。
親子で話したいポイント
- 末っ子は、どうして老人に食べ物を分けてあげたのかな?
- 誰かを笑顔にして嬉しかったことはある?
- 親切にしてもらって、どんな気持ちになったかな?
- あなたなら、困っている人にどんなことをしてあげたい?
保育士向け活用ポイント
- 「思いやり」や「親切にすることの大切さ」を考える読み聞かせにおすすめです。
- 登場人物の気持ちを想像しながら読むことで、共感性や社会性を育む活動につながります。
- 劇あそびでは、「ぺたり」とつながる場面を取り入れることで、子どもたちが笑顔で楽しめる表現活動になります。
- 「笑顔は周りにも広がる」というテーマで、友だちとの関わりや温かい言葉かけについて話し合うきっかけにも活用できます。


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