芋ころがし(いもころがし)

あ行
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あらすじ

むかしむかし、山奥のお寺に、食べることが大好きなお坊さんたちが住んでいました。

ある日、お寺に大きな里芋が届きます。

みんなで分けて食べようとしますが、欲張る気持ちが出てしまい、なかなかうまくいきません。

ところが、ある出来事をきっかけに、お坊さんたちは大切なことに気づきます。

本文

むかしむかし、山の中に小さなお寺がありました。

そのお寺には、何人かのお坊さんが仲良く暮らしていました。

毎日お経を読んだり、掃除をしたり、畑の世話をしたりして、穏やかな生活を送っていました。

ただ、一つだけ困ったことがありました。

それは、お坊さんたちがみんな食べることが大好きだったことです。

特に好きだったのは、秋にとれる里芋でした。

「今年もおいしい里芋が食べられるといいなあ。」

「ほくほくした里芋は最高だね。」

みんな秋になるのを楽しみにしていました。

そんなある秋の日。

村の人がお寺へやってきました。

「いつもお世話になっているお礼です。」

そう言って、大きな里芋を一つ持ってきてくれました。

それは今まで見たことがないほど大きな里芋でした。

お坊さんたちは大喜びしました。

「これは立派な里芋だ!」

「きっとおいしいぞ。」

みんなで料理することになりました。

ところが、いざ食べる時になると問題が起こりました。

「私が一番たくさん働いたから、大きいところをもらおう。」

一人のお坊さんが言いました。

すると別のお坊さんも、

「いやいや、私だって毎日掃除をしている。」

と言いました。

「私は畑の世話をしているぞ。」

「私は水を運んでいる。」

みんな自分が頑張ったことを言い始めました。

気づけば、里芋を分けるどころか、言い争いになってしまいました。

そこへ和尚さんがやってきました。

「どうしたのですか?」

お坊さんたちは説明しました。

和尚さんは少し考えました。

そして、

「では、みんなで一番良い方法を考えてみましょう。」

と言いました。

しかし、お坊さんたちはまだ納得できません。

そこで和尚さんは言いました。

「それなら、里芋を転がしてみてはどうですか?」

「転がす?」

みんな首をかしげました。

和尚さんは里芋を床の上に置きました。

「里芋は丸いから、転がっていくでしょう。」

「止まったところにいる人が食べることにしましょう。」

お坊さんたちは面白そうだと思いました。

「それなら公平だ。」

みんなで里芋を転がしました。

ころころころ。

里芋は畳の上を転がります。

「こっちに来い!」

「いや、あっちだ!」

お坊さんたちは夢中になりました。

ところが、里芋はどんどん転がっていきます。

部屋の端まで行き、

ころころころ。

なんと、壁にぶつかって向きを変えました。

「あっ!」

みんなが追いかけます。

里芋は止まりません。

廊下を転がり、階段の近くまで行きました。

「危ない!」

お坊さんたちは慌てて追いかけました。

すると、里芋は階段を一段ずつ転がり落ちていきました。

ころころころ。

最後には、台所の前でぴたりと止まりました。

みんなで顔を見合わせました。

「台所だ。」

「これは料理しろということかな。」

お坊さんたちは思わず笑ってしまいました。

和尚さんは言いました。

「里芋は、一人で食べる人を選ばなかったね。」

「みんなで楽しく食べる場所へ戻ってきたのです。」

お坊さんたちは恥ずかしくなりました。

「そうだね。」

「一人で多く食べようとしていたね。」

それから、お坊さんたちは里芋をみんなで分けました。

大きなものも小さなものも、仲良く分け合いました。

不思議なことに、みんなで食べる里芋はいつもよりずっとおいしく感じました。

「一緒に食べるって楽しいね。」

お坊さんたちは笑いました。

それ以来、お寺では食べ物を取り合うことはなくなりました。

分け合うことの大切さを、里芋が教えてくれたのでした。

おしまい。

登場人物

  • 和尚さん
    お坊さんたちを導く、知恵のある人物。
  • お坊さんたち
    食べ物が大好きで、最初は欲張ってしまいますが、大切なことに気づきます。
  • 村の人
    お寺へ大きな里芋を届ける優しい人。

教訓

  • 欲張るより、分け合うことで幸せは大きくなる。
  • みんなが納得できる方法を考えることが大切。
  • 感謝の気持ちを忘れない。

親子で話したいポイント

  • お友だちと何かを分けた経験はある?
  • 取り合いになった時、どうしたら仲良くできるかな?
  • みんなで食べるとどうして楽しいのかな?

保育士向け活用ポイント

  • 「順番」「公平」「分け合う心」を学ぶ教材として活用できます。
  • 給食やおやつの場面と結びつけて話し合うことができます。
  • 年少児には「仲良くする」、年中〜年長児には「相手の気持ちを考える」活動へ発展できます。

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