おいてけ堀(おいてけぼり)

日本の昔話
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あらすじ

むかしむかし、江戸の町に「おいてけ堀」と呼ばれる不思議な堀がありました。

そこでは魚がよく釣れるため、多くの人が釣りにやってきました。

しかし、釣った魚を持って帰ろうとすると、どこからともなく不思議な声が聞こえてきます。

「おいてけ……おいてけ……。」

その声の正体とは何だったのでしょうか。

本文

むかしむかし、江戸の町のある場所に、小さな堀がありました。

その堀は「おいてけ堀」と呼ばれていました。

なぜそんな名前がついたのかというと、不思議な出来事がたびたび起こっていたからです。

その堀には魚がたくさんいました。

魚釣りが好きな人たちは、

「おいてけ堀へ行けば、たくさん釣れるぞ。」

と話していました。

ある日のこと。

一人の釣り好きな男が、おいてけ堀へやってきました。

男は朝早くから釣りを始めました。

すると、驚くほど魚が釣れました。

一匹。

また一匹。

気づけば、かごの中は魚でいっぱいです。

「今日は大漁だ!」

男は大喜びしました。

これだけあれば、家族も喜ぶだろう。

男は釣った魚を持って、家へ帰ろうとしました。

ところが、堀を離れようとしたその時です。

どこからともなく、声が聞こえてきました。

「おいてけ……。」

男は立ち止まりました。

「誰だ?」

周りを見渡しましたが、誰もいません。

すると、また声がしました。

「おいてけ……おいてけ……。」

男は不思議に思いました。

「魚を置いていけと言っているのか?」

でも、せっかく釣った魚です。

男は気にせず歩き出しました。

すると、急に足が重くなりました。

まるで誰かに引っ張られているようです。

「おかしいな。」

男は振り返りました。

しかし、そこには誰もいません。

男は少し怖くなりましたが、

「きっと気のせいだ。」

と思い、そのまま家へ向かいました。

ところが、道を歩いていると、今度はもっと大きな声が聞こえました。

「おいてけー!」

男はびっくりして走り出しました。

走っても走っても、声は後ろから追いかけてきます。

「おいてけ……おいてけ……。」

男は怖くなり、とうとう魚の入ったかごを置いて逃げ出しました。

すると、不思議なことに、声はぴたりと止まりました。

男は家へ帰ると、家族に今日あったことを話しました。

「そんなことがあるのかい?」

家族は驚きました。

しかし、次の日になると、町では同じような話が広まっていました。

「おいてけ堀で釣った魚を持ち帰ろうとすると、変な声がするらしい。」

「魚を置いていくと、何も起こらないそうだ。」

それから、人々はおいてけ堀で釣りをする時、少し考えるようになりました。

「必要以上に取ってはいけないのかもしれない。」

「自然からもらったものには、感謝しなければいけない。」

ある日、一人の老人が堀へ釣りにやってきました。

老人は魚を少しだけ釣りました。

そして、

「家族で食べる分だけいただきます。」

と言って、堀にお礼をしました。

すると、不思議な声は聞こえませんでした。

老人は笑いました。

「欲張らなければ、怖がることはないのかもしれないね。」

それから、おいてけ堀へ行く人たちは、必要な分だけ魚を取るようになりました。

そして、自然の恵みに感謝する気持ちを大切にしたということです。

おしまい。

登場人物

  • 釣り好きな男
    魚をたくさん釣り、持ち帰ろうとする男性。
  • 老人
    自然への感謝を忘れず、必要な分だけ取る人物。
  • おいてけ堀の不思議な存在
    人々に欲張らない心を伝える存在。

教訓

  • 欲張りすぎず、必要な分だけ大切に使うことが大切。
  • 自然の恵みに感謝する心を持つ。
  • 自分だけでなく、周りや未来のことを考えることが大切。

親子で話したいポイント

  • たくさん欲しくなった時、どうしたらいいかな?
  • 食べ物や物を大切にするにはどうしたらいい?
  • 自然からもらっているものには何があるかな?

保育士向け活用ポイント

  • 「物を大切にする心」「自然への感謝」を育む教材として活用できます。
  • 食育や環境教育の導入にもつなげられます。
  • 少し不思議な要素があるため、年長児の想像力を広げる読み聞かせにも向いています。

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