のっぺらぼう|世界の名作・昔話(日本の妖怪)
あらすじ
夜道を歩いていた男が、道端で泣いている女性に出会います。
心配して声をかけた男でしたが、振り返った女性の顔には、目も鼻も口もありませんでした。
恐ろしくなって逃げた男は、ようやく人を見つけて助けを求めます。
ところが、その人の顔も――。
「のっぺらぼう」は、顔のない妖怪として語り継がれてきた、少しぞっとする怪談です。
本文
むかしむかし、ある男が夜遅くまで仕事をして、町から家へ帰る道を歩いていました。
辺りはすっかり暗くなり、道を歩く人の姿もありません。
聞こえてくるのは、男の足音ばかりです。
コツ、コツ、コツ……。
男が暗い道を歩いていると、少し先に人影が見えました。
道の端に、一人の女性がうつむいて座っています。
どうやら泣いているようでした。
「こんな夜遅くに、どうしたのだろう?」
男は気になって、女性のそばへ近づきました。
「どうしたのですか?」
声をかけると、女性はうつむいたまま答えました。
「道に迷ってしまったのです。」
男は少し安心しました。
「それなら、道を教えましょう。」
そう言って、女性の顔をのぞき込もうとした、そのときです。
女性がゆっくりと顔を上げました。
男は息をのみました。
あるはずの目がありません。
鼻もありません。
口もありません。
つるりとした顔には、何もなかったのです。
「うわっ!」
男は悲鳴をあげると、夢中で走り出しました。
振り返ることもできません。
暗い道を、ただひたすら走りました。
しばらくすると、遠くに明かりが見えてきました。
屋台です。
そこには一人の男がいました。
「助けてくれ!」
男は屋台へ駆け寄りました。
「どうしたんです?」
「顔のない女がいたんだ! 目も鼻も口もなかった!」
屋台の男は、落ち着いた声で言いました。
「まあ、それは怖かったでしょう。」
男はようやくほっとしました。
人に会えた。
これでもう大丈夫だ。
そう思った、そのときでした。
屋台の男がゆっくりと顔を上げました。
「こんな顔ですか?」
男は、その顔を見つめました。
目がありません。
鼻もありません。
口もありません。
そこにあったのは、何もない、つるりとした顔でした。
「ひっ……!」
男は再び悲鳴をあげ、暗い夜道へ飛び出していきました。
おしまい。
登場人物
男
夜道でのっぺらぼうに出会う主人公。
のっぺらぼう
顔に目・鼻・口がない妖怪。
屋台の男
逃げてきた男が助けを求める相手。その正体は……。
教訓
夜道では一人で行動せず、安全に気をつける。
知らない相手に近づくときは慎重になる。
怖いときは、信頼できる人へ助けを求める。
親子で話したいポイント
男はどうして怖くなったのかな?
夜道を歩くときに気をつけることは何?
怖いことがあったとき、誰に助けを求めたい?
保育士向け活用ポイント
夜道や防犯をテーマにした安全指導の導入に活用できます。
「顔に何もなかったら、どんな気持ちになる?」と想像したり、顔のない妖怪を題材にした造形遊びへつなげたりすることもできます。


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