あらすじ
夜道を歩いていると、山犬のような妖怪が後ろからついてくることがあります。
それが「送り犬」です。
転んだり弱ったりすると襲われるとも、無事に歩き終えるまで見守ってくれるとも言われています。
本文
むかしむかし、山道を歩いて帰る人々は、夜になるといつも気をつけていました。
暗い山道では、後ろから何かがついてくることがあるからです。
「ザッ、ザッ、ザッ。」
ある夜、一人の男が山道を歩いていると、後ろから足音が聞こえてきました。
振り返ると、少し離れたところに大きな犬のような影がいます。
男が歩けば、その影も歩きます。
男が立ち止まれば、影もぴたりと止まります。
「いったい、何だ?」
男は怖くなりました。
けれど、走って逃げようとはしません。
ゆっくり、ゆっくりと山道を進みました。
やがて村の近くまで来ると、犬の影はぴたりと止まりました。
男が振り返ると、そこにはもう何もいません。
村へ戻って話すと、村人たちは言いました。
「それは送り犬だ。おまえが山道を歩くのを、ずっと見ていたんだろう。」
男は、自分の後ろに続いていた暗い山道を振り返りました。
けれど、送り犬の姿はもうどこにもありませんでした。
おしまい。
登場人物
旅人
夜の山道を歩いて帰る男。
送り犬
旅人の後ろからついてくる、山犬のような妖怪。
村人たち
送り犬のことを知っている人々。
教訓
送り犬は、人を襲う恐ろしい妖怪として語られる一方、夜道を歩く人を見守る存在として伝えられることもあります。
昔の山道には、暗闇や険しい道、野生の動物など、さまざまな危険がありました。送り犬の伝承には、夜の山道への恐れや、人々の想像が重ねられていたのかもしれません。
親子で話したいポイント
- 後ろから犬がついてきたらどうする?
- 夜の山道が危険なのはなぜ?
- 怖いものが自分を守ってくれるとしたら、どんな気持ちになる?
保育士向け活用ポイント
山や自然の中で過ごすときの安全について考えるきっかけにできます。
「歩くと送り犬も歩く」「止まると送り犬も止まる」という場面を使って、まねっこ遊びや身体表現につなげるのも楽しめます。


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