あらすじ
田んぼを奪われた農夫の恨みから生まれたとされる妖怪、泥田坊。
夜の田んぼから現れ、「田を返せ」と叫ぶと伝えられています。
土地や田んぼに強い思いを残した、不思議な妖怪のお話です。
本文
むかしむかし、田んぼをとても大切にしている農夫がいました。
農夫は朝から晩まで働き、一生懸命に米を育てていました。
「この田んぼは、先祖から受け継いだ大切な土地だ」
農夫にとって、田んぼは何よりも大切なものでした。
ところが、農夫が年を取ると、土地をめぐって争いが起こりました。
そして、大切にしていた田んぼは人の手に渡ってしまいました。
農夫は悲しみ、何度も願いました。
「私の田んぼを返してくれ」
しかし、その願いが聞き入れられることはありませんでした。
やがて、農夫は亡くなりました。
それからしばらくたった、ある夜のことです。
静かな田んぼの中から、不思議な声が聞こえてきました。
「田を返せ……」
村人たちがおそるおそる田んぼを見ると、泥の中から大きな人影が現れました。
全身を泥にまみれさせたその姿を見て、村人たちは震え上がりました。
「泥田坊だ!」
泥田坊は、田んぼの中から何度も叫びました。
「田を返せ……田を返せ……」
農夫が大切にしていた田んぼへの思いは、亡くなったあとも消えることがなかったのでしょうか。
それからも泥田坊は、夜の田んぼに現れては、
「田を返せ……」
と叫んだということです。
おしまい。
登場人物
農夫
先祖から受け継いだ田んぼを大切にしていた男性。
泥田坊
夜の田んぼから現れ、「田を返せ」と叫ぶ妖怪。
村人たち
夜の田んぼに現れた泥田坊を目撃した人々。
教訓
泥田坊には、田んぼや土地に対する昔の人々の強い思いが表れています。
毎日手をかけて育ててきた田んぼを失った農夫の悲しみや悔しさを想像できるお話です。
親子で話したいポイント
- 農夫はどうして田んぼを大切にしていたのかな?
- 泥田坊は、どんな気持ちで「田を返せ」と言っていたのかな?
- 自分が大切にしているものは何?
保育士向け活用ポイント
お米や田んぼ、昔の農作業について興味を広げるきっかけにできる妖怪のお話です。
田植えや稲刈り、食育などの活動と組み合わせながら、「お米はどうやってできるのかな?」と子どもたちと話してみるのもよいでしょう。


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