あらすじ
むかし、平安京の宮中で、夜になると不気味な鳴き声が聞こえるようになりました。
その正体は、猿の顔、狸の体、虎の手足、蛇のような尾を持つといわれる怪物「鵺」。
宮中の人々が恐れるなか、武士の源頼政が鵺の正体を突き止めるため、弓を手に夜空を見上げます。
本文
むかしむかし、平安京でのことです。
あるころから、夜になると宮中に不思議な声が聞こえるようになりました。
「ひゅううう……。」
鳥の声のようでもあり、獣の声のようでもあります。
どこから聞こえてくるのかも分かりません。
宮中の人々は、その不気味な声を恐れていました。
「いったい、何が鳴いているのだろう。」
夜が来るたびに、同じような声が響きます。
けれど、誰もその正体を確かめることができません。
そこで、この怪異を何とかするため、源頼政という武士が呼ばれました。
ある夜、頼政は弓を手に宮中で待ち構えました。
あたりは静まり返っています。
やがて――
「ひゅううう……。」
また、あの不気味な声が聞こえてきました。
頼政が夜空を見上げると、雲のあたりに黒い影が見えました。
「あそこだ。」
頼政は弓を構えます。
そして、じっと狙いを定めました。
ひょうっ!
放たれた矢は、黒い影へ向かって飛んでいきました。
すると、
ドサッ!
何かが地面へ落ちてきました。
人々がおそるおそる近づいてみると、そこには見たこともない生き物が倒れていました。
猿のような顔。
狸のような体。
虎のような手足。
そして、蛇のような長い尾。
その怪物こそ、「鵺」と呼ばれるものでした。
それからは、夜ごと聞こえていた不気味な声も聞こえなくなりました。
宮中の人々はほっとし、鵺を射落とした源頼政の名は広く知られるようになったということです。
おしまい。
登場人物
- 源頼政
宮中を騒がせていた怪物の正体を確かめ、弓で鵺を射落とした武士。 - 鵺
夜になると不気味な声を響かせていた怪物。猿の顔、狸の体、虎の手足、蛇のような尾を持つといわれています。 - 宮中の人々
夜ごと聞こえる不思議な声におびえていた人々。
親子で話したいポイント
- 鵺はどんな姿をしていたのかな?
- 夜空から不思議な声が聞こえてきたら、どんな気持ちになるかな?
- 自分で不思議な生き物を考えるなら、どんな動物を組み合わせたい?
保育士向け活用ポイント
鵺は、いくつもの動物の特徴が組み合わさった不思議な姿をしています。
「自分だけの妖怪を考えてみよう」と、さまざまな動物の顔や体、手足、しっぽを組み合わせる造形遊びにもつなげやすいお話です。
読み聞かせのあとに、子どもたちが想像した鵺を絵にして楽しむこともできます。


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