読了時間:約6分
あらすじ
むかしむかし、心の優しい若者が暮らしていました。
ある日、若者は不思議な頭巾を手に入れます。
その頭巾をかぶると、動物や植物の話し声が聞こえるようになりました。
若者はその力を自分のためではなく、人を助けるために使います。
人の話をよく聞くことの大切さを教えてくれる昔話です。
本文
むかしむかし、山の近くの小さな村に、一人の若者が住んでいました。
若者は、家は貧しくても心の優しい人でした。
困っている人を見ると、放っておくことができません。
重たい荷物を持っている人がいれば手伝い、道に迷った人がいれば案内をしました。
村の人たちは言いました。
「あの若者は本当に優しいね。」
ある日のことです。
若者が山へ薪を取りに行くと、道の途中で一人のおじいさんに出会いました。
おじいさんは重そうな荷物を持って歩いていました。
若者は声をかけました。
「大丈夫ですか?私が持ちましょう。」
若者は荷物を運ぶのを手伝いました。
すると、おじいさんは嬉しそうに言いました。
「ありがとう。お礼に良いものをあげよう。」
おじいさんが取り出したのは、一枚の古い頭巾でした。
「これは不思議な頭巾だ。」
「これをかぶると、今まで聞こえなかった声が聞こえるようになる。」
若者は驚きました。
「声が聞こえる?」
「そうだよ。ただし、聞いたことを悪いことに使ってはいけない。」
おじいさんはそう言って、山の奥へ消えていきました。
若者は家に帰り、さっそく頭巾をかぶってみました。
すると、不思議なことが起こりました。
庭の木から声が聞こえたのです。
「今年は雨が少ないから、畑の野菜が心配だな。」
若者は驚きました。
「木も話をしているんだ。」
次の日、若者は村の畑を見に行きました。
すると、木が言っていた通り、畑は少し乾いていました。
若者は村の人に伝えました。
「水をあげたほうがいいかもしれません。」
村の人たちは若者の言葉を聞いて、畑の世話をしました。
すると、野菜は元気に育ちました。
また別の日のことです。
若者が森を歩いていると、小鳥の声が聞こえました。
「大変だ。森の奥に迷子の子どもがいるよ。」
若者は急いで森へ向かいました。
すると、一人の子どもが泣いていました。
「おうちに帰れないよ。」
若者は優しく声をかけました。
「大丈夫。一緒に帰ろう。」
そして、無事に家族のもとへ送り届けました。
村の人たちは喜びました。
「若者のおかげで助かったよ。」
しかし、ある日、村の欲張りな男が聞き耳頭巾の話を聞きました。
「その頭巾があれば、宝物の場所も分かるかもしれない。」
男は若者から頭巾を借りようとしました。
若者は言いました。
「この頭巾は、人を助けるために使うものです。」
しかし、男は言うことを聞きません。
頭巾をかぶって森へ行きました。
すると、聞こえてきたのは動物たちの困った声でした。
「人間が森を荒らしている。」
「大切な木が困っている。」
男は、自分の欲ばかり考えていたことに気づきました。
「自分は間違っていたのかもしれない。」
男は反省しました。
若者は言いました。
「聞くことは、ただ音を聞くことではありません。」
「相手の気持ちを考えることが大切なのです。」
それから村の人たちは、相手の話をよく聞き、助け合って暮らしました。
聞く心を持つこと。
それは、人を大切にする第一歩だったのです。
おしまい。
登場人物
- 若者
優しく、人を助ける心を持つ主人公。 - おじいさん
不思議な聞き耳頭巾を渡す人物。 - 村人たち
若者の優しさに助けられる人々。 - 欲張りな男
自分の利益だけを考え、学びを得る人物。
教訓
- 相手の話をよく聞くことは、相手を大切にすることにつながる。
- 力や才能は、人のために使うことが大切。
- 思いやりのある行動は、周りを幸せにする。
親子で話したいポイント
- 人の話を最後まで聞くと、どんな良いことがある?
- 友だちが困っている時、どんな声をかける?
- 自分の力を誰かのために使うなら何ができる?
保育士向け活用ポイント
- 「傾聴する力」「相手を思いやる心」を育てる教材として活用できます。
- 友だち同士の関わりや、話を聞く姿勢について考えるきっかけになります。
- 年長児では「相手の気持ちを想像する活動」へ発展できます。


コメント