美女と野獣|世界の名作・昔話(フランス民話)

世界の名作・昔話

読む時間の目安:約10分

あらすじ

むかしむかし、ベルという娘が父親と暮らしていました。

ある日、父親は森の奥にある不思議なお城へ迷い込み、そこで恐ろしい姿をした野獣と出会います。

父親を助けるため、自らお城へ向かったベル。

最初は野獣を怖がっていましたが、一緒に暮らすうちに、少しずつその優しさを知っていきます。

やがてベルと野獣の間には、不思議な変化が訪れます。


本文

むかしむかし、あるところにベルという娘が住んでいました。

ベルは本を読むことが大好きで、父親と仲良く暮らしていました。

ある日、父親が旅に出ることになりました。

「ベル、お土産は何がいい?」

父親が尋ねると、ベルは答えました。

「それなら、バラを一輪ください。」

父親はベルに約束し、旅へ出かけました。

ところが帰り道、深い森の中で道に迷ってしまいます。

あたりは暗くなり、冷たい風も吹いてきました。

「困ったな。今夜はどこで休もう。」

しばらく進んでいくと、森の奥に大きなお城が見えてきました。

父親はおそるおそる中へ入りました。

けれど、誰もいません。

不思議に思いながらも一晩休ませてもらい、次の日、お城を出ようとしました。

そのときです。

庭に美しいバラが咲いているのを見つけました。

「そうだ。ベルと約束していたな。」

父親は一輪のバラを摘みました。

すると――

「私のバラを取ったのは誰だ!」

大きな声が響きました。

現れたのは、恐ろしい姿をした野獣でした。

父親はびっくりして、その場で震えました。

「申し訳ありません。娘へのお土産にと思ったのです。」

野獣は父親の話を聞きました。

そして、ある条件を出しました。

父親が家へ戻る代わりに、娘が自分の意思でこの城へ来ること。

父親は家へ帰り、ベルにお城で起きたことを話しました。

するとベルは言いました。

「私がお城へ行きます。」

「そんなことはさせられない!」

父親は止めました。

けれどベルは、自分でお城へ行くことを決めました。

こうしてベルは、野獣の暮らすお城へ向かいました。

初めて野獣を見たベルは、その恐ろしい姿に驚きました。

大きな体。

鋭い爪。

低く響く声。

ベルは野獣を怖がりました。

けれど、お城で一緒に暮らしているうちに、少しずつ野獣の違う一面が見えてきました。

野獣はベルが本を好きだと知ると、お城にあるたくさんの本を見せてくれました。

ベルが困っていると、そっと助けてくれることもありました。

二人は少しずつ話をするようになりました。

ベルも、いつしか野獣と過ごす時間を楽しむようになっていきます。

そんなある日、ベルは父親のことが心配になりました。

「お父さんに会いたい。」

ベルがそう話すと、野獣は悲しそうな顔をしました。

ベルがいなくなれば、また一人になってしまいます。

それでも野獣は言いました。

「行っておいで。」

ベルは父親のもとへ帰りました。

久しぶりに父親と会い、ベルはほっとしました。

けれど、しばらくすると野獣のことが気になり始めます。

「どうしているかしら……。」

ベルは、お城へ戻ることにしました。

急いでお城へ向かうと、野獣はすっかり弱っていました。

「野獣!」

ベルは野獣のそばへ駆け寄りました。

野獣は、ベルが戻ってきたことに気づき、ゆっくりと目を開きました。

ベルは野獣の手を握りました。

離れてみて初めて、ベルは自分にとって野獣がどれほど大切な存在になっていたのか気づいたのです。

「あなたにいなくなってほしくない。」

そのとき――

お城の中がまぶしい光に包まれました。

ベルが驚いていると、野獣の姿が少しずつ変わっていきます。

そして光が消えると、そこには一人の王子が立っていました。

野獣は、魔法によって姿を変えられた王子だったのです。

ベルの気持ちによって、長い間かけられていた魔法は解けました。

お城にも明るさが戻りました。

ベルと王子は、それからも一緒に過ごし、幸せに暮らしたということです。

おしまい。


登場人物

ベル

本を読むことが好きな娘。

父親を助けるため、自分の意思で野獣の暮らすお城へ向かいます。

野獣

森の奥にあるお城で暮らしています。

恐ろしい姿をしていますが、ベルと暮らすうちに少しずつ心を通わせていきます。

ベルの父親

旅の途中で野獣のお城へ迷い込みます。

ベルへのお土産にバラを摘んだことから、野獣と出会います。

王子

魔法によって野獣の姿に変えられていた人物です。


親子で話したいポイント

  • ベルは最初、野獣のことをどう思っていたのかな?
  • ベルはどうしてお城へ戻ったのかな?
  • 野獣にはどんな優しいところがあった?
  • 自分がお城に住めるなら、どんな部屋がほしい?

保育士向け活用ポイント

お城やバラ、野獣など、子どもたちがイメージを膨らませやすいものがたくさん登場します。

「野獣はどんな姿をしているかな?」と自由に絵を描いたり、お城を作ったりする製作遊びにも広げられます。

ベルと野獣が少しずつ仲良くなっていく場面を取り入れ、劇遊びとして楽しむこともできます。

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