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あらすじ
むかしむかし、ある国に一人の王様がいました。
王様には、誰にも知られたくない秘密がありました。
それは、耳がロバのように長かったことです。
王様はいつも耳を隠していましたが、髪を切る床屋さんにその秘密を知られてしまいます。
「誰にも話してはいけない」と言われた床屋さんは、秘密を抱えきれなくなり、ある方法でこっそり打ち明けることにしました。
本文
むかしむかし、ある国に一人の王様がいました。
王様は立派な服を着て、大きなお城に住んでいました。
けれど、王様には誰にも知られたくない秘密がありました。
それは――
王様の耳が、ロバのように長かったことです。
王様は自分の耳をとても気にしていました。
「この耳を見られたくない。」
そこで髪を長く伸ばしたり、大きな帽子をかぶったりして、耳を隠して暮らしていました。
ある日、王様は床屋さんを呼びました。
「私の髪を切りなさい。」
「かしこまりました。」
床屋さんが王様の髪を切っていると、隠れていた耳が見えました。
床屋さんはびっくり。
「これは……!」
王様の耳は、ロバのように長かったのです。
すると王様は言いました。
「このことは、決して誰にも話してはいけない。」
床屋さんは約束しました。
「はい。誰にも話しません。」
床屋さんは家へ帰りました。
けれど、王様の秘密が頭から離れません。
誰かに話したくても、話すことはできません。
「言いたい……。」
「でも、言ってはいけない……。」
床屋さんは毎日、王様の秘密を抱えて過ごしました。
とうとう我慢できなくなった床屋さんは、誰もいない場所へ向かいました。
そして地面に穴を掘りました。
床屋さんは穴の中に顔を近づけ、小さな声で言いました。
「王様の耳は……ロバの耳。」
もう一度。
「王様の耳は……ロバの耳。」
床屋さんは穴を埋め、家へ帰っていきました。
これでもう、誰にも秘密を話してはいません。
ところが、しばらくすると不思議なことが起こりました。
床屋さんが穴を掘った場所から、一本の植物が生えてきたのです。
やがて大きく育ち、風が吹きました。
ざわざわ。
ざわざわ。
すると、どこからともなく声が聞こえてきました。
「王様の耳はロバの耳。」
「王様の耳はロバの耳。」
近くを通った人が立ち止まりました。
「ん? 今、何か聞こえなかったか?」
また風が吹きます。
ざわざわ、ざわざわ。
「王様の耳はロバの耳。」
その不思議な声は、たくさんの人に聞かれてしまいました。
「王様の耳はロバの耳なんだって!」
「本当なのか?」
噂はどんどん広がっていきます。
そして、とうとう王様のところまで届きました。
「私の秘密が知られてしまった!」
王様は驚きました。
もう耳を隠していても仕方がありません。
王様は帽子を取り、自分の耳をみんなの前に見せました。
けれど、人々は王様が思っていたほど驚きませんでした。
しばらくすると、王様の長い耳を気にする人もいなくなりました。
王様も、もう耳を隠すことはありませんでした。
こうして「王様の耳はロバの耳」という話は、国中に知られることになったのでした。
おしまい。
登場人物
王様
ある国を治めている王様。
ロバのように長い耳を誰にも見られないよう、ずっと隠して暮らしています。
床屋さん
王様の髪を切ったことで、長い耳の秘密を知ってしまいます。
誰にも話さないと約束しますが、秘密を抱えきれなくなってしまいます。
国の人々
不思議な声をきっかけに、王様の秘密を知ることになります。
親子で話したいポイント
- 王様はどうして耳を隠していたのかな?
- 床屋さんはどうして秘密を話したくなったのかな?
- 風の中から声が聞こえてきたら、どんな気持ちになる?
- 自分が王様だったらどうする?
保育士向け活用ポイント
「誰にも言っちゃいけない。でも言いたい」という床屋さんの様子は、子どもたちにも分かりやすく、やり取りを楽しめる場面です。
「王様の耳はロバの耳!」という言葉を繰り返したり、風に揺れる植物を体で表現したりと、劇遊びにもつなげられます。
王様の長い耳や不思議な植物を自由に描くなど、製作やお絵描きにも広げやすいお話です。


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