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あらすじ
むかしむかし、ある国にとても立派な王様がいました。
しかし、その王様には誰にも知られたくない秘密がありました。
それは、王様の耳がロバの耳だったことです。
王様はその秘密を隠すため、誰にも言わないように命じていました。
けれど、人は秘密を一人で抱え続けることが難しいものです。
「本当のことを伝える勇気」「自分の弱さを受け入れること」「人の噂や見た目だけで判断しないこと」を考えさせてくれる世界の昔話です。
本文
むかしむかし、ある国に一人の王様がいました。
その王様は、
とても強く、
国民からも尊敬されていました。
立派な服を着て、
大きなお城に住み、
誰もが憧れる存在でした。
しかし、
王様には誰にも知られてはいけない秘密がありました。
それは……
王様の耳が、
ロバの耳だったのです。
王様はそのことをとても気にしていました。
「もし国民に知られたら、笑われてしまう。」
「誰にも知られてはいけない。」
そう思った王様は、
髪を長く伸ばし、
大きな帽子をかぶり、
耳を隠して暮らしていました。
ある日、
王様は床屋さんを呼びました。
「私の髪を切りなさい。」
床屋さんは王様の髪を整えていました。
すると、
隠れていた耳が見えてしまいました。
床屋さんは驚きました。
「王様の耳が……ロバの耳だ!」
しかし、
王様は怖い顔で言いました。
「このことを誰かに話したら、ただでは済まさないぞ。」
床屋さんは震えながら約束しました。
「決して誰にも言いません。」
床屋さんは家へ帰りました。
でも、
胸の中には大きな秘密が残りました。
誰にも言えない秘密を抱えていると、
どんどん苦しくなっていきました。
「言ってはいけない。」
「でも、誰かに聞いてほしい。」
床屋さんは悩み続けました。
ある日、
床屋さんは森の中へ行きました。
そして、
地面に穴を掘ると、
その穴に向かって小さな声で言いました。
「王様の耳は……ロバの耳。」
「王様の耳は……ロバの耳。」
床屋さんは、
誰かに話すのではなく、
地面に秘密を打ち明けました。
すると、
少し心が軽くなりました。
それからしばらくして、
その場所に一本の竹が生えました。
風が吹くと、
竹は揺れて音を出しました。
「王様の耳はロバの耳。」
「王様の耳はロバの耳。」
その音を聞いた人々は、
不思議に思いました。
「今、何か聞こえなかった?」
「王様の秘密のような……。」
やがて、
国中の人々がその話を知ることになりました。
王様は怒りました。
「秘密が知られてしまった!」
しかし、
国民は王様を笑いませんでした。
「王様にも苦手なことや悩みがあるのだ。」
「誰にでも隠したい部分はある。」
そう理解したのです。
王様も、
いつまでも自分の弱さを隠すことをやめました。
そして、
少しずつ自分自身を受け入れるようになりました。
人は誰でも、
得意なことや苦手なことがあります。
大切なのは、
完璧に見せることではなく、
ありのままの自分と向き合うことなのです。
おしまい。
登場人物
王様
国を治める人物。
人には見せたくない秘密を抱えています。
床屋さん
王様の秘密を知ってしまい、悩みながらも正直な気持ちを表現する人物です。
国民
王様の弱さを受け入れ、理解する存在です。
教訓
- 誰にでも人には見せたくない部分がある。
- 自分の弱さを受け入れることも大切。
- 人の違いや特徴を笑うのではなく認め合うことが大切。
- 秘密や悩みを抱え込まず、誰かに相談することも必要。
親子で話したいポイント
- 王様はどうして耳を隠していたのかな?
- 自分だけの秘密や苦手なことはある?
- 友だちの違うところを見つけたら、どうしたらいいかな?
- 見た目が違うことは悪いことなのかな?
保育士向け活用ポイント
- 「違いを認める心」「自己肯定感」を育てる題材になります。
- 子どもは発達の過程で、自分と友だちの違いに気付き始めます。その時に「違う=悪いこと」ではなく、「一人ひとり違っていい」という考えにつなげることができます。
- インクルーシブ保育の考え方とも関連し、個性や特性を受け止める大切さを考えるきっかけになります。
- 保育者自身も「できない部分を隠す」のではなく、互いに相談しながら成長できる環境づくりについて考える教材になります。
- 劇遊びや表現活動では、王様や床屋さんの気持ちを想像することで、感情理解や表現力を育む活動につなげられます。


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