三年寝太郎(さんねんねたろう)|世界の名作・昔話(日本の昔話)

昔話

あらすじ

むかしむかし、ある村に、何年もの間眠り続けている若者がいました。

朝になっても、昼になっても、若者は眠ったまま。

村人たちは、そんな若者を「三年寝太郎」と呼んでいました。

そんなある年、村をひどい日照りが襲います。

田んぼの水がなくなり、村人たちが困り果てていると、ずっと眠っていた寝太郎が突然起き上がりました。


本文

むかしむかし、ある村に、一人の若者が住んでいました。

その若者は、とにかくよく眠ります。

朝になっても起きません。

昼になっても起きません。

夜になっても、ぐっすり眠っています。

「今日も寝ているぞ。」

「いつになったら起きるんだ?」

村人たちは、あきれていました。

一日たっても、二日たっても、若者は眠っています。

いつしか村人たちは、若者を「三年寝太郎」と呼ぶようになりました。

そんなある年のことです。

村では、長い間雨が降りませんでした。

川の水は少なくなり、田んぼもカラカラに乾いていきます。

「このままでは、お米がとれなくなってしまう。」

「どうしたらいいんだ。」

村人たちは困り果てました。

ところが、寝太郎は相変わらず眠ったままです。

「こんなときまで寝ているのか。」

「寝太郎にできることなんてないさ。」

村人たちはそう言っていました。

ところが、ある日のこと。

ずっと眠っていた寝太郎が、

むくり。

突然、起き上がりました。

「寝太郎が起きた!」

村人たちはびっくりしました。

寝太郎は何も言わず、村を出て山へ向かって歩いていきます。

「おい、どこへ行くんだ?」

村人が声をかけても、寝太郎は歩き続けました。

やがて山の上まで来ると、大きな岩の前で立ち止まりました。

寝太郎はじっと岩を見つめます。

そして、大きな岩に手をかけました。

「よいしょ……!」

寝太郎は力いっぱい岩を押しました。

しかし、大きな岩はなかなか動きません。

「よいしょ!」

「もう一度!」

寝太郎が何度も力を込めると、

ゴゴゴゴ……。

大きな岩が動き始めました。

そして、

ゴロゴロゴロ!

岩は山の斜面を転がっていきました。

すると、せき止められていた水が一気に流れ出しました。

ザアアアア!

水は山から村へ向かって流れていきます。

「水だ!」

「水が来たぞ!」

村人たちは大喜びです。

乾いていた田んぼにも、次々と水が入っていきました。

「寝太郎がやったんだ!」

「寝太郎が村を救ってくれたぞ!」

村人たちは寝太郎のところへ集まりました。

「寝太郎、お前はどうしてあの岩を動かそうと思ったんだ?」

すると寝太郎は、にっこり笑いました。

「ずっと考えていたんだ。」

「どうしたら、山の水を村まで流せるのかってね。」

村人たちは驚きました。

何もせず、ただ眠っているように見えた寝太郎。

けれど寝太郎は、ずっと村のことを考えていたのでした。

それから村の田んぼには水が流れるようになり、再びお米を作れるようになりました。

村人たちは、もう寝太郎を笑うことはありませんでした。

そして寝太郎はというと……。

大仕事を終えると、またいつもの場所へ戻っていきました。

ごろん。

「やっぱり寝るんだな。」

村人たちは顔を見合わせ、笑いました。

寝太郎は気持ちよさそうに、また眠り始めたそうです。

おしまい。


登場人物

三年寝太郎

何年もの間、寝てばかりいる若者です。

村人たちから怠け者だと思われていますが、村が日照りに苦しむと突然起き上がります。

村人たち

寝太郎と同じ村に暮らす人々です。

最初は寝太郎をあきれて見ていますが、思いがけない活躍に驚きます。


親子で話したいポイント

  • 寝太郎は寝ながら何を考えていたのかな?
  • ずっと寝ていた寝太郎が急に起きたとき、村の人たちはどんな気持ちだったと思う?
  • 自分だったら、どうやって田んぼまで水を運ぶ?
  • 寝太郎はこのあと、またどのくらい眠ったと思う?

保育士向け活用ポイント

「朝になっても起きない」「昼になっても起きない」という繰り返しがあり、子どもにも展開が分かりやすいお話です。

岩が転がる「ゴロゴロゴロ」や、水が流れる「ザアアアア」など、音をつけながら読むと楽しめます。

寝太郎になって眠ったり、大きな岩をみんなで押したりするなど、身体表現や劇遊びにもつなげやすい昔話です。

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