あらすじ
むかしむかし、山のふもとの村に、鳥が大好きなおじいさんが住んでいました。
おじいさんは毎日、庭にやってくる雀たちにお米を分けてあげていました。
ある日、一羽の小さな雀がけがをしているのを見つけ、家へ連れて帰って看病します。
元気になった雀は山へ帰っていきますが、数日後、おじいさんを不思議なお宿へ案内するのでした。
本文
むかしむかし、山の近くの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは鳥が大好きでした。
朝になると庭へ出て、
「おはよう。」
と雀たちに声をかけます。
雀たちも、
「ちゅん、ちゅん。」
と元気に鳴きました。
おじいさんは食事のたびに、少しだけお米を分けてあげていました。
「みんなで食べるとおいしいからね。」
ある日のことです。
庭の隅で、一羽の小さな雀がうずくまっていました。
どうやら羽を痛めているようです。
「これは大変だ。」
おじいさんは雀をそっと両手で包み、家へ連れて帰りました。
水を飲ませ、温かい布をかけて休ませます。
おばあさんも心配そうに言いました。
「早く元気になるといいね。」
数日が過ぎると、雀はすっかり元気になりました。
「ちゅん!」
雀は嬉しそうに部屋の中を飛び回ります。
そしてある朝、おじいさんの肩にちょこんと止まりました。
「もう大丈夫そうだね。」
おじいさんが窓を開けると、雀は空へ飛び立ちました。
「元気で暮らすんだよ。」
おじいさんは雀が見えなくなるまで、空を眺めていました。
それから数日後のことです。
一羽の雀が庭へやってきました。
よく見ると、あの雀です。
雀は少し飛んでは、おじいさんの方を振り返ります。
まるで、
「ついてきて。」
と言っているようでした。
おじいさんは雀の後を追いかけました。
山道を歩き、竹林を抜け、小川を渡ります。
やがて森の奥に、立派な家が見えてきました。
入り口には木の札がありました。
そこには、
「すずめのおやど」
と書かれています。
戸が開くと、たくさんの雀たちが出迎えてくれました。
「ようこそ!」
「助けてくれてありがとう!」
元気になった雀も、嬉しそうに飛んできました。
「ここは私たちの家です。」
おじいさんは広間へ案内されました。
すると雀たちが、次々とごちそうを運んできます。
木の実のおこわ。
山菜のお吸い物。
栗ごはん。
甘い木の実のおもち。
どれも、とてもおいしそうです。
食事が終わると、今度は歌と踊りが始まりました。
「ちゅんちゅん、ちゅちゅん。」
雀たちは小さな羽を広げ、楽しそうに踊ります。
おじいさんも思わず笑顔になりました。
「これは楽しいなあ。」
楽しい時間はあっという間に過ぎました。
帰る時間になると、雀たちは二つの箱を持ってきました。
一つは大きな箱。
もう一つは小さな箱です。
「好きな方を選んでください。」
おじいさんは言いました。
「私はもう年だから、小さい方で十分ですよ。」
おじいさんは小さな箱を受け取り、雀たちに別れを告げました。
家へ帰って箱を開けてみると、中には金貨や反物、美しい細工のおもちゃが入っていました。
おばあさんも目を丸くしました。
「これはすごいねえ。」
おじいさんは嬉しそうに笑いました。
それからも春になると、庭には雀たちが遊びに来ました。
おじいさんは空を見上げて言いました。
「また遊びにおいで。」
すると、どこからか、
「ちゅん!」
と元気な声が聞こえてきたそうです。
おしまい。
登場人物
おじいさん
鳥が大好きなおじいさんです。
けがをしていた雀を見つけ、家へ連れて帰って世話をします。
おばあさん
おじいさんと一緒に雀を看病します。
小さな雀
羽を痛めていたところを、おじいさんに助けられます。
元気になると、おじいさんを「すずめのおやど」へ案内します。
雀たち
森の奥にある「すずめのおやど」で暮らしています。
訪ねてきたおじいさんを、ごちそうや歌、踊りでもてなします。
教訓
- 困っている相手に優しくすることの大切さ。
- 小さな生き物にも命があること。
- 感謝の気持ちを伝えることの大切さ。
親子で話したいポイント
- おじいさんは、どうして雀を助けたのかな?
- 「すずめのおやど」では、どんなごちそうを食べてみたい?
- 雀たちの踊りは、どんな踊りだったと思う?
- 身近には、どんな鳥や生き物がいるかな?
保育士向け活用ポイント
雀や「すずめのおやど」など、子どもが想像を広げやすい場面の多いお話です。
「すずめのおやどには何があるかな?」と問いかけながら読むと、自由に想像して楽しめます。
雀の鳴き声や飛ぶ姿をまねする身体表現や、鳥を題材にした製作遊びにもつなげられます。
散歩などで身近な鳥を探したり、鳴き声を聞いたりする活動のきっかけにも使いやすい作品です。


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