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あらすじ
むかしむかし、子どもに恵まれなかったおじいさんとおばあさんが、毎日囲炉裏のすすやあかを集めて丸めながら、「もし子どもがいたらなあ」と話していました。
ある日、そのすすの塊が突然動き出し、元気な男の子になります。
二人はその子を「力太郎」と名付け、大切に育てました。
力太郎は誰よりも力持ちに成長しますが、自分の力を試し、人々の役に立ちたいと旅に出ます。
旅の途中で仲間と出会い、悪者に苦しめられていた村を救うことになるのでした。
本文
むかしむかし、山の近くの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は毎日仲良く暮らしていましたが、一つだけ願いがありました。
「子どもがいたら、もっとにぎやかな毎日になるのになあ。」
ある冬の日、おばあさんが囲炉裏を掃除していると、たくさんのすすやあかが集まりました。
おばあさんはそれを見て笑いました。
「これで子どもができたら面白いね。」
おじいさんも笑いながら、そのすすを丸くまとめました。
その夜のことです。
囲炉裏のそばから、
「おぎゃあ、おぎゃあ!」
という元気な泣き声が聞こえました。
二人が飛び起きると、すすの塊だったものが赤ん坊になっています。
「これは神様からの贈り物だ!」
二人は大喜びしました。
その子は「力太郎」と名付けられました。
力太郎はすくすく育ちました。
一歳になるころには大きな石を転がし、
三歳になると薪を何束も運び、
五歳になるころには大人でも持ち上げられない丸太を軽々と肩に担ぎました。
村の人たちは驚きました。
「なんて力持ちなんだ!」
けれど力太郎は威張ることはありません。
困っている人がいれば手伝い、
橋が壊れれば直し、
重い荷物を運んでは感謝されました。
ある日、力太郎はおじいさんとおばあさんに言いました。
「もっと広い世界で、自分の力を役立てたい。」
二人は少し寂しくなりましたが、
「人の役に立つためなら行っておいで。」
と笑顔で送り出しました。
旅の途中、力太郎は大きな岩を持ち上げようとしている若者に出会いました。
「何をしているの?」
「村へ水を引くために岩をどかしたいんだ。」
力太郎は一緒に力を合わせ、岩を動かしました。
若者は言いました。
「ありがとう。君は本当に強いね。」
さらに旅を続けると、大きな木を一本で引きずる男に出会いました。
「私は木引き太郎。」
また、重い鉄の棒を軽々振り回す男にも出会いました。
「私は鉄太郎。」
三人は互いの力を認め合い、一緒に旅をすることになりました。
ある村へ着くと、人々が暗い顔をしています。
「どうしたのですか?」
村長が答えました。
「山のお城に鬼が住み着き、毎年食べ物やお金を奪っていくのです。」
力太郎は立ち上がりました。
「その鬼に会いに行こう。」
三人は山を登りました。
山頂には古いお城があります。
鬼は三人を見ると大笑いしました。
「人間が三人で何ができる!」
鬼は大きなこん棒を振り下ろしました。
しかし力太郎はそのこん棒を受け止めます。
木引き太郎は丸太を投げ、
鉄太郎は鉄の棒で鬼の武器を弾き飛ばしました。
最後に力太郎が鬼を持ち上げると、
鬼は震えながら言いました。
「もう悪いことはしません。」
力太郎は鬼を許しました。
「約束を守るなら、仲良く暮らそう。」
鬼は深く頭を下げました。
その後、鬼は山で木を切ったり橋を直したりして、人々の役に立つようになりました。
村人たちは安心して暮らせるようになり、大喜びしました。
数年後、力太郎はふるさとの村へ帰りました。
おじいさんとおばあさんは涙を流して喜びました。
「立派になったね。」
力太郎は笑いました。
「強い力は、自分のためではなく、人を助けるために使うものだと分かったよ。」
それを聞いた二人は、何よりもうれしく思いました。
こうして力太郎は、いつまでも人々に愛される力持ちとして語り継がれたそうです。
おしまい。
登場人物
- 力太郎
囲炉裏のすすから生まれた、不思議な力を持つ主人公。 - おじいさん
力太郎をわが子のように育てる優しい父親。 - おばあさん
愛情深く力太郎を育てる母親。 - 木引き太郎
大木を軽々と運ぶ力持ちの仲間。 - 鉄太郎
重い鉄棒を自在に扱う仲間。 - 鬼
山の城に住み、村人を困らせていたが、改心する。
教訓
- 本当の強さとは、人を助けるために力を使うこと。
- 仲間と協力することで、大きな困難も乗り越えられる。
- 相手が反省したら許す心も大切である。
親子で話したいポイント
- 力太郎はどうして旅に出たのかな?
- 強い力があったら、どんなことに使いたい?
- 「強い人」とは、どんな人だと思う?
保育士向け活用ポイント
- 「力は人のために使う」という道徳的なテーマを伝える読み聞かせに適しています。
- 仲間との協力や助け合いについて話し合うきっかけになります。
- ごっこ遊びや運動遊びと組み合わせて、力や協力をテーマにした活動へ発展させることができます。


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