あらすじ
むかしむかし、小さな小さな男の子がいました。
その大きさは、一寸(約3センチ)ほどしかありませんでした。
体は小さくても元気いっぱいで、いつか都へ出て立派な人になりたいと思っていました。
一寸法師は都へ向かい、ある立派なお屋敷で働くことになります。
やがて鬼に出会った一寸法師は、小さな体と勇気を生かして立ち向かいます。
知恵と勇気で困難を乗り越え、幸せをつかむ日本の昔話です。
本文
むかしむかし、ある村におじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人には子どもがいませんでした。
そこで毎日、神様にお願いしていました。
「どうか元気な子どもを授けてください。」
すると、ある日のこと。
おばあさんに、小さな小さな男の子が生まれました。
その子は、普通の赤ちゃんとは少し違っていました。
体の大きさが、一寸ほどしかなかったのです。
おじいさんとおばあさんは驚きました。
「なんと小さい子だろう。」
けれど、二人はとても喜びました。
「大切なわしらの子だ。」
二人はその子を大切に育てました。
男の子は、一寸法師と呼ばれるようになりました。
一寸法師は体は小さくても、とても元気でした。
ご飯もよく食べ、よく笑い、すくすくと育ちました。
やがて、一寸法師は言いました。
「都へ行って、自分の力を試してみたい。」
「そして、立派な人になりたいのです。」
おじいさんとおばあさんは心配しました。
「遠い都まで行くのかい?」
それでも、一寸法師の決意は変わりません。
「小さくても、できることはあります。」
二人はその言葉を聞き、一寸法師を送り出すことにしました。
旅立ちの日、おばあさんは針を一本渡しました。
「これは刀の代わりにするといい。」
おじいさんは、お椀を渡しました。
「これは舟の代わりに使うといい。」
一寸法師は針を刀にし、お椀を舟にして、箸でこぎながら川を下っていきました。
どんぶらこ。
どんぶらこ。
小さな舟は、都へ向かって進んでいきます。
長い旅の末、一寸法師は大きな都へ着きました。
そこには、立派なお屋敷がありました。
一寸法師は屋敷の主人に頼みました。
「どうか、ここで働かせてください。」
主人は一寸法師を見て驚きました。
「こんなに小さいのに、働きたいというのか。」
主人は一寸法師の心意気を気に入り、屋敷で働かせることにしました。
一寸法師は毎日、一生懸命働きました。
掃除をしたり、荷物を運んだり、自分にできる仕事を見つけては頑張りました。
ある日のことです。
お屋敷のお姫様がお寺へお参りに行くことになり、一寸法師も一緒についていきました。
ところが帰り道、大きな鬼が現れました。
「人間を食べてやろう!」
鬼は大きな声で叫びました。
みんなが怖がるなか、一寸法師は逃げませんでした。
「お姫様を守るぞ!」
一寸法師は針の刀を抜き、鬼へ向かっていきました。
鬼は笑いました。
「そんな小さな体で何ができる!」
けれど、一寸法師はすばやく動き回ります。
鬼の足元を走り、腕に登り、鼻の上へ飛び乗りました。
「いたい!」
怒った鬼は、一寸法師をぱくりと飲み込んでしまいました。
ところが、一寸法師は鬼のお腹の中でも負けません。
針の刀で、チクチクと刺しました。
「いたたたた!」
「まいった!」
たまらなくなった鬼は、一寸法師を吐き出しました。
そして、慌てて逃げていきました。
鬼が逃げたあとには、不思議な打ち出の小槌が残されていました。
お姫様が言いました。
「この小槌なら、あなたの願いもかなうかもしれません。」
一寸法師は小槌を振りました。
「大きくなりたい!」
すると、不思議なことが起こりました。
一寸法師の体が、ぐんぐん大きくなっていったのです。
小さな手も大きくなり、やがて一寸法師は立派な若者になりました。
主人もお姫様も大喜びしました。
その後、一寸法師はお姫様と幸せに暮らしました。
そして、おじいさんとおばあさんも都へ呼び、みんなで仲良く暮らしたということです。
おしまい。
登場人物
一寸法師
一寸ほどの小さな体で生まれた男の子。勇気があり、自分の力で道を切り開いていきます。
おじいさん
一寸法師を大切に育て、都へ旅立つ息子を送り出します。
おばあさん
一寸法師を愛情いっぱいに育て、旅立ちのときには針を持たせます。
お姫様
一寸法師が仕える屋敷のお姫様です。
鬼
一寸法師とお姫様の前に現れる大きな鬼です。
教訓
- 体の大きさにかかわらず、自分の力を生かすことができる。
- 勇気を持って行動することで道が開けることがある。
- 自分にできることを一生懸命続けることが大切。
親子で話したいポイント
- 一寸法師のどんなところがすごいと思う?
- 小さな体だからこそ、できたことは何だったかな?
- 自分だったら鬼が現れたとき、どうする?
- 自分の得意なことは何かな?
保育士向け活用ポイント
- 「自信を持つこと」や「挑戦する気持ち」について考えられる作品です。
- 一寸という大きさから、長さや身体測定、成長をテーマにした活動へつなげることもできます。
- お椀の舟や針の刀など、子どもがイメージしやすい道具が登場するため、制作活動にも取り入れやすいお話です。
- 劇遊びでは、一寸法師・鬼・お姫様など役割が分かりやすく、年齢に合わせて楽しめます。


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