人魚姫|世界の名作・昔話(アンデルセン童話)

世界の名作・昔話

読む時間の目安:約10分

あらすじ

むかしむかし、海の深いところに、美しい人魚のお姫様が暮らしていました。

海の上の世界に憧れていた人魚姫は、十五歳になった日、初めて海の上へ出ます。

そこで出会ったのは、一人の王子様でした。

嵐で海へ投げ出された王子様を助けた人魚姫は、もう一度会いたいと願い、人間になるために海の魔女のもとを訪れます。

しかし、その願いには大きな代償がありました。


本文

むかしむかし、海の深いところに、美しいお城がありました。

そこには海の王様と、六人の人魚のお姫様たちが暮らしていました。

一番下の人魚姫は、海の上の世界にとても興味を持っていました。

「海の上には、どんな世界があるのかしら。」

「人間たちは、どんな暮らしをしているのかしら。」

人魚姫は、おばあさまやお姉さんたちから聞く人間の世界の話が大好きでした。

けれど、人魚たちが海の上へ出られるのは、十五歳になってからです。

人魚姫は、その日をずっと楽しみにしていました。

そして、とうとう十五歳の誕生日がやってきました。

人魚姫は海の中から、ゆっくりと上へ泳いでいきます。

ざぶん。

初めて海の上へ顔を出しました。

広い空。

遠くまで続く海。

そして少し離れたところには、大きな船が浮かんでいました。

船の上では、たくさんの人たちが楽しそうにお祝いをしています。

その真ん中にいたのは、一人の王子様でした。

その日は、王子様の誕生日だったのです。

人魚姫は海の中から、楽しそうな様子を眺めていました。

ところが突然、空が暗くなりました。

強い風が吹き、大きな波が船を襲います。

嵐です。

船は激しく揺れ、とうとう王子様が海へ投げ出されてしまいました。

「大変!」

人魚姫は急いで王子様のもとへ泳ぎました。

王子様を支えながら、荒れる海を泳いでいきます。

そして、ようやく海岸までたどり着きました。

王子様は気を失っています。

人魚姫は、王子様が目を覚ますまでそばにいたかったのですが、人が近づいてくるのが見えました。

人魚姫は岩陰へ隠れ、そのまま海へ帰っていきました。

けれど、それからも王子様のことが忘れられません。

「もう一度、王子様に会いたい。」

「私も人間になれたら……。」

人魚姫は悩んだ末、海の魔女のもとへ向かいました。

「私を人間にしてください。」

海の魔女は人魚姫を見つめました。

「人間の足を手に入れることはできるよ。」

「ただし、その代わりに、おまえの美しい声をもらおう。」

人魚姫は迷いました。

歌うことも、話すこともできなくなってしまいます。

それでも、王子様にもう一度会いたいという気持ちは変わりませんでした。

人魚姫は魔女の条件を受け入れました。

そして人間の姿になり、海の上の世界へ向かいました。

そこで人魚姫は、王子様と再会します。

王子様は、声を出すことのできない人魚姫を優しく迎えました。

人魚姫も王子様のそばで、たくさんの時間を過ごしました。

けれど王子様は知りません。

嵐の夜、自分を海から助けてくれたのが人魚姫だったことを。

やがて王子様は、別の国のお姫様と結婚することになりました。

人魚姫は悲しみました。

このままでは、人魚姫は海の泡になって消えてしまいます。

その夜、人魚姫のお姉さんたちが海から現れました。

そして、人魚姫が元の姿に戻るための方法を伝えます。

けれど、そのためには王子様の命を奪わなければなりません。

人魚姫は眠っている王子様を見つめました。

そして――

王子様を傷つけることはできませんでした。

人魚姫は海へ身を投げました。

体は少しずつ海の泡になっていきます。

けれど、人魚姫はそこで消えてしまったわけではありませんでした。

気がつくと、人魚姫の体は軽くなり、空へと昇っていました。

人魚姫は「空気の娘」となり、新しい世界へ旅立っていったのです。

海の上には朝の光が広がっていました。

人魚姫はその光の中を、空高く昇っていったということです。

おしまい。


登場人物

人魚姫

海の王様の末娘。

海の上の世界に憧れ、十五歳になった日に王子様と出会います。

王子様

人魚姫が嵐の海から助けた王子様。

自分を助けてくれたのが人魚姫だとは知りません。

海の王様

海の世界を治める、人魚姫のお父さんです。

人魚姫のお姉さんたち

人魚姫と一緒に海のお城で暮らしている姉たち。

妹を助けようとします。

海の魔女

人魚姫の声と引き換えに、人間の足を与えます。


親子で話したいポイント

  • 人魚姫はどうして人間になりたいと思ったのかな?
  • 声を失ってしまった人魚姫は、どんな気持ちだったかな?
  • 自分が海の中で暮らせるなら、何をしてみたい?
  • 人魚姫のお話で、一番心に残った場面はどこ?

保育士向け活用ポイント

海の中のお城や人魚、船、嵐など、子どもたちが想像を広げやすい場面がたくさん登場します。

青い布を波に見立てて海の中を表現したり、人魚や魚になって泳ぐ動きを楽しんだりと、身体表現にもつなげられます。

海のお城や人魚の姿を自由に描いたり、さまざまな海の生き物を作ったりと、製作遊びにも広げやすいお話です。

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