黄金の子どもたち|世界の名作・昔話(グリム童話)

グリム童話

あらすじ

あるところに、黄金のように輝く髪を持った、不思議な子どもたちがいました。

その珍しい姿は王さまや周囲の人々を驚かせ、やがて子どもたちを宝物のように欲しがる者まで現れます。

しかし、父親と母親にとって、どれほど珍しい姿をしていても、子どもたちはかけがえのない家族です。

黄金の輝きに目を奪われる人々と、子どもを守ろうとする家族の姿を描いた物語です。

本文

むかしむかし、あるところに、一組の夫婦が暮らしていました。

夫婦は決して裕福ではありませんでしたが、家族で支え合いながら、穏やかな毎日を送っていました。

そんな夫婦のもとに、ある日、不思議な子どもが生まれました。

生まれた子どもを見た父親と母親は、驚いて顔を見合わせました。

「まあ……。」

子どもの髪が、黄金のように輝いていたのです。

窓から差し込む日の光を受けると、髪はきらきらと美しく光りました。

「なんて不思議な子なんだろう。」

父親はそう言いました。

けれど母親は、子どもをそっと抱きしめました。

「どんな姿でも、私たちの大切な子どもです。」

やがて、黄金のように輝く子どもの噂は、少しずつ周りへ広がっていきました。

「金色に輝く髪を持った子どもがいるらしい。」

「本物の黄金みたいに光るそうだ。」

「そんな子どもが本当にいるのか?」

噂を聞きつけた人々が、遠くからその姿を見に来るようになりました。

そして、とうとうその話は王さまの耳にも届きました。

「黄金のような髪を持つ子どもだと?」

王さまはたいそう驚きました。

「そんな珍しい子どもは見たことがない。ぜひ一度、この目で見てみたいものだ。」

やがて王さまは、その不思議な子どもを見ることになりました。

子どもの髪は、聞いていたとおり美しく輝いていました。

王さまは思わず見入ってしまいました。

「これは驚いた。本当に黄金のようではないか。」

周囲の人々も口々に言いました。

「なんと珍しい。」

「こんな子どもは見たことがありません。」

子どもたちの噂は、ますます広がっていきました。

ところが、珍しいものがあると聞けば、それを自分のものにしたいと考える者も現れます。

「あの子どもには、きっと大変な価値がある。」

「黄金の髪なら、宝物と同じではないか。」

そんなことを言う人まで出てきました。

父親と母親は、その言葉を聞くたびに不安になりました。

「この子たちは宝物ではない。」

父親は言いました。

「珍しいものとして見世物にされるために生まれてきたのではありません。」

母親も子どもたちを抱き寄せました。

「この子たちは、私たちの家族です。」

しかし、黄金の輝きに目を奪われた人々は、なかなかそのことを分かってくれません。

子どもたちを見て、その髪ばかりをほめる者もいました。

「なんて美しい黄金の髪でしょう。」

「きっと大変な価値があるに違いない。」

そんな声を聞くたび、父親と母親は子どもたちを守ろうとしました。

「髪が金色だから大切なのではない。」

父親は子どもたちに言いました。

「あなたたちだから、大切なんだ。」

母親もうなずきました。

「どんな姿をしていても、それは変わりません。」

それからも家族には、さまざまな困難が訪れました。

珍しい子どもたちを一目見ようとする人。

黄金の輝きにばかり目を向ける人。

子どもたちを特別なものとして扱おうとする人。

けれど父親と母親は、そのたびに力を合わせました。

そして子どもたちも、家族に守られながら成長していきました。

ある日、黄金の髪を持つ子どもが父親に尋ねました。

「どうして、みんなは私たちの髪ばかり見るの?」

父親は少し考えてから答えました。

「珍しいからだろうね。」

「この髪がなかったら、私は大切じゃないの?」

父親はすぐに首を横に振りました。

「そんなことはないよ。」

そして、子どもの目を見ながら言いました。

「髪が金色でも、黒くても、どんな色でも、お前はお前だ。それだけで、私たちにとって大切なんだ。」

母親も子どもたちを抱きしめました。

「あなたたちは、黄金だから大切なのではありません。私たちの大切な子どもだから、何よりも大切なのです。」

子どもたちはうれしそうに笑いました。

窓から差し込んだ日の光が、黄金の髪をきらきらと照らしました。

けれど父親と母親が見つめていたのは、その美しい髪ではありません。

笑っている、子どもたちの顔でした。

家族はそれからも互いに支え合いながら、仲良く暮らしていきました。

おしまい。

登場人物

黄金の子どもたち
黄金のように輝く珍しい髪を持つ子どもたち。周囲から特別な存在として見られます。

父親・母親
子どもたちの姿や珍しさではなく、一人の子どもとして大切にし、周囲から守ろうとする家族。

王さまや周囲の人々
黄金の子どもたちの珍しい姿に驚き、強い興味を持つ人々。

教訓

人の価値を、見た目や珍しさだけで決めない。

どんな姿や特徴を持っていても、一人ひとりの命と存在そのものを大切にする。

困ったときには家族や周りの人と支え合うことが大切。

親子で話したいポイント

人の大切さは、見た目や持っているもので決まるのかな?

自分と見た目や特徴が違う人に出会ったら、どんなふうに接したい?

黄金の子どもたちは、髪のことばかり言われてどんな気持ちだったと思う?

自分が「大切にされている」と感じるのは、どんなときかな?

保育士向け活用ポイント

「一人ひとりの違いを大切にすること」や「見た目だけで相手を判断しないこと」について考えるきっかけにできる物語です。

子ども同士の髪の色や体格、得意なことや苦手なことなど、さまざまな違いに目を向けながら、「違っていても一人ひとりが大切」ということを話し合う活動につなげられます。

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