絵姿女房(えすがたにょうぼう)

あ行
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あらすじ

むかしむかし、貧しいけれど心優しい男がいました。

男は美しい娘と結婚し、幸せに暮らしていました。

しかし、ある日、男は妻の姿を描いた絵を残して旅に出ることになります。

その絵が思わぬ出来事を引き起こし、二人の運命を変えていきます。

夫婦の愛情や、大切な人を思う気持ちを描いた昔話です。

本文

むかしむかし、山あいの小さな村に、一人の若者が住んでいました。

若者は働き者でしたが、とても貧しい暮らしをしていました。

毎日一生懸命働いていましたが、なかなか生活は楽になりません。

それでも若者は、

「いつか心から笑える日が来る。」

と信じて、前向きに暮らしていました。

ある日のことです。

若者は村で、とても美しい娘に出会いました。

娘は見た目が美しいだけではありません。

誰にでも優しく声をかけ、困っている人を見ると手を差し伸べる心の温かい人でした。

若者はすぐに娘のことが大好きになりました。

娘もまた、若者の真面目で優しい心に惹かれました。

やがて二人は夫婦になりました。

二人の暮らしは、決して裕福ではありませんでした。

けれど、毎日笑顔が絶えませんでした。

朝になると一緒に働き、夜になると今日あった出来事を話しました。

「お金はたくさんなくても、二人でいれば幸せだね。」

二人はそう言って仲良く暮らしていました。

ある日、若者は遠くの町へ働きに行くことになりました。

「しばらく帰ってこられないかもしれない。」

若者が言うと、妻は寂しそうな顔をしました。

「あなたが元気で帰ってきてくれることが一番です。」

二人は別れを惜しみました。

その時、若者は妻に言いました。

「あなたの顔を見られないのは寂しいから、絵を描いてもいいかな。」

妻は笑ってうなずきました。

若者は心を込めて妻の姿を描きました。

それは、とても美しい絵でした。

若者はその絵を大切に持って、旅へ出ました。

町へ着いた若者は、一生懸命働きました。

しかし、どれだけ頑張っても、妻のことを忘れる日はありませんでした。

夜になると、若者は絵を見ながら言いました。

「早く家へ帰って、また一緒に暮らしたいな。」

ところが、その絵が思わぬところで人の目に留まりました。

ある身分の高い人が、若者の持っている絵を見つけました。

「なんと美しい女性の絵だろう。」

その人は絵を見て、とても気に入りました。

「この女性に会ってみたい。」

そう思ったのです。

やがて、その話は広まり、妻のもとにも届きました。

妻は困りました。

「私は夫を大切に思っています。」

「誰かのために生きることはできません。」

しかし、簡単には断れない状況になってしまいました。

妻は悲しい気持ちでいっぱいになりました。

その頃、若者も妻のことを思い続けていました。

そして、ようやく故郷へ帰る日がやってきました。

若者が家へ戻ると、そこには妻の姿がありません。

若者は驚きました。

「いったい何があったんだ。」

村の人から話を聞き、若者はすべてを知りました。

若者はすぐに妻を探しに向かいました。

そして、たくさんの苦労の末、二人は再び出会うことができました。

妻は涙を流しました。

「もう会えないかと思いました。」

若者も言いました。

「どんなに遠く離れていても、君を思う気持ちは変わらなかった。」

二人は再び一緒に暮らせることになりました。

その後も、二人は支え合いながら幸せに暮らしました。

絵に描かれた姿よりも大切だったもの。

それは、お互いを思いやる心でした。

おしまい。

登場人物

  • 若者
    貧しくても真面目で優しい心を持つ男性。

  • 美しいだけでなく、思いやりのある女性。
  • 身分の高い人
    妻の絵を見て、会いたいと思う人物。

教訓

  • 本当に大切なものは、見た目や物ではなく心のつながり。
  • 相手を思いやる気持ちは、距離が離れても変わらない。
  • 困難な時こそ、信じ合うことが大切。

親子で話したいポイント

  • 大切な人が遠くへ行ったら、どんな気持ちになるかな?
  • 「好き」という気持ちは、どうやって伝えられるかな?
  • 家族や友だちにしてもらって嬉しかったことは何かな?

保育士向け活用ポイント

  • 「家族愛」「相手を思いやる気持ち」を育てる教材として活用できます。
  • 夫婦の話としてだけでなく、親子や友だち関係にも置き換えて考えることができます。
  • 年長児では「大切な人への気持ちを表現する活動」につなげられます。

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