眠れる森の美女|世界の名作・昔話(グリム童話)

世界の名作・昔話

読む時間の目安:約9分

あらすじ

むかしむかし、ある国に美しい王女が生まれました。

王様とお妃様は大喜びし、王女の誕生を祝うために盛大なお祝いの会を開きます。

ところが、招かれなかった一人の妖精が現れ、王女に恐ろしい呪いをかけてしまいました。

やがて十五歳になった王女は、古い糸車を見つけます。


本文

むかしむかし、ある国のお城に、王様とお妃様が住んでいました。

二人は長い間、子どもが生まれることを願っていました。

そしてある日、待ちに待った女の子が生まれました。

「なんてかわいい王女だろう。」

王様とお妃様は大喜びです。

国中の人々も、王女の誕生を喜びました。

王様は盛大なお祝いの会を開き、国にいる妖精たちを招きました。

妖精たちは、一人ずつ王女に贈り物をします。

「美しい人になりますように。」

「優しく、賢い人になりますように。」

「すてきな歌声を持つ人になりますように。」

ところが、そのときです。

突然、扉が開きました。

そこに立っていたのは、お祝いの会に招かれなかった妖精でした。

「なぜ、私を招かなかったのです!」

妖精は怒っています。

そして王女を見て言いました。

「この王女は十五歳になったとき、糸車の針に指を刺してしまうでしょう!」

お城の中は静まり返りました。

すると、まだ贈り物をしていなかった一人の妖精が前へ出ました。

「その呪いを消すことはできません。でも、変えることならできます。」

妖精は王女に魔法をかけました。

「王女は命を失うのではありません。長い眠りにつくのです。」

王様は王女を守るため、国中の糸車を集めて燃やすよう命じました。

それから月日は流れました。

王女はすくすくと成長し、十五歳の誕生日を迎えました。

その日、王女は一人でお城の中を歩いていました。

いつもは行かない場所まで歩いていくと、小さな階段を見つけました。

「こんなところに階段があったのね。」

階段を上っていくと、古い扉があります。

王女が扉を開けると、中には一人のおばあさんがいました。

おばあさんは、見たことのない道具を使っています。

「それは何をしているの?」

「糸を紡いでいるのですよ。」

そこにあったのは、王様がすべてなくしたはずの糸車でした。

「私にもやらせて。」

王女が糸車に手を伸ばした、その瞬間。

チクリ。

針が王女の指に刺さりました。

「あっ……。」

王女はその場に倒れ、静かに眠ってしまいました。

すると、不思議な魔法がお城全体に広がりました。

王様も、お妃様も、兵士も、料理人も、召使いたちも眠ってしまいます。

お城はしんと静まり返りました。

やがて、お城の周りには草や木が生い茂り、深い森に包まれていきました。

それから長い年月が過ぎました。

ある日、一人の王子がお城の近くを通りかかりました。

王子は村の人から、不思議な話を聞きました。

「森の奥には、長い間眠り続けている王女がいるそうです。」

王子は森の奥へ向かうことにしました。

深い森を進んでいくと、不思議なことが起こりました。

絡み合っていた木々や枝が、少しずつ道を開いていきます。

王子はその道を進み、ついにお城へたどり着きました。

お城の中へ入ると、たくさんの人が眠っています。

王様も、お妃様も、兵士たちも眠ったままです。

王子はさらに奥へ進みました。

そして、一つの部屋で眠っている王女を見つけました。

王子がそっと王女に近づくと、長い眠りの時間が終わりました。

王女はゆっくりと目を開けました。

「ここは……?」

その瞬間、お城のあちこちから音が聞こえてきました。

王様が目を覚まします。

お妃様も目を覚まします。

兵士や料理人、召使いたちも次々と動き始めました。

長い間静まり返っていたお城に、再び人々の声が響きます。

王様とお妃様は、目を覚ました王女を抱きしめました。

やがて王女と王子の結婚を祝う盛大な宴が開かれました。

長い眠りから目を覚ましたお城には、再び笑い声があふれました。

そして王女と王子は、幸せに暮らしたということです。

おしまい。


登場人物

王女

王様とお妃様の娘です。

妖精の呪いによって、十五歳になると長い眠りについてしまいます。

王様とお妃様

王女の誕生を心から喜ぶ両親です。

王女を呪いから守ろうと、国中の糸車をなくそうとします。

妖精たち

王女の誕生を祝うため、お城へ招かれます。

一人の妖精が王女に呪いをかけ、別の妖精がその呪いを長い眠りへと変えます。

王子

長い年月が過ぎたあと、森の奥にあるお城を訪れる王子です。

眠っている王女を見つけます。


親子で話したいポイント

  • 妖精から贈り物をもらえるなら、どんなものがいい?
  • 王女は初めて糸車を見たとき、どんな気持ちだったのかな?
  • お城のみんなが眠っている間、どんな夢を見ていたと思う?
  • 森の奥に眠っているお城を見つけたら、入ってみたい?

保育士向け活用ポイント

眠っているお城、深い森、妖精の魔法など、子どもたちが想像を広げやすい場面がたくさんあります。

妖精になって王女へ贈り物を考えたり、眠っているお城を絵に描いたりする遊びにもつなげられます。

王様、王女、妖精、王子など役柄が分かりやすいため、劇遊びや発表会の題材としても取り入れやすいお話です。

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