ブレーメンの音楽隊|世界の名作・昔話(グリム童話)

世界の名作・昔話

読む時間の目安:約8分

あらすじ

むかしむかし、年をとって働けなくなったロバがいました。

ロバはこれまで暮らしていた家を離れ、音楽隊になるためにブレーメンの町へ向かうことにします。

旅の途中で出会ったのは、同じように行き場をなくした犬、猫、にわとり。

四匹は一緒にブレーメンを目指します。

ところが森の中で夜を迎えた四匹は、明かりのついた一軒の家を見つけました。


本文

むかしむかし、ある農家に一匹のロバが住んでいました。

ロバは長い間、重い荷物を運び、一生懸命働いてきました。

しかし、年をとると、以前のようには働けなくなってしまいました。

ある日、主人が言いました。

「もう、このロバには仕事を任せられないな。」

それを聞いたロバは思いました。

「このままここにいることはできない。」

そこでロバは、家を出ることにしました。

「そうだ。ブレーメンへ行こう。」

「ブレーメンへ行って、音楽隊に入るんだ。」

ロバは一人で旅に出ました。

しばらく歩いていると、一匹の犬に出会いました。

犬は道ばたに座り、疲れた様子でハアハアと息をしています。

「どうしたんだい?」

ロバが聞くと、犬は答えました。

「年をとって、狩りができなくなってしまったんだ。もう家にはいられないよ。」

するとロバは言いました。

「それなら、私と一緒にブレーメンへ行かないか?」

「私は音楽隊に入ろうと思っているんだ。君も一緒にやろう。」

「それはいい!」

犬は立ち上がりました。

こうして、ロバと犬は一緒に歩き始めました。

しばらくすると、今度は一匹の猫に出会いました。

猫は悲しそうな顔をしています。

「どうしたんだい?」

二匹が聞くと、猫は答えました。

「年をとって、ねずみを捕まえるのが難しくなったの。だから、家を出てきたのよ。」

ロバは言いました。

「それなら、私たちと一緒にブレーメンへ行こう。」

「みんなで音楽隊になるんだ。」

「おもしろそうね。」

猫も仲間になりました。

三匹が歩いていくと、今度は一羽のにわとりに出会いました。

にわとりは大きな声で鳴いています。

「コケコッコー!」

「ずいぶん大きな声だね。どうしたんだい?」

にわとりは答えました。

「このままここにいたら、明日には食べられてしまうかもしれないんだ。」

「それなら、一緒に来ないか?」

ロバが言いました。

「君の声なら、きっと音楽隊でも活躍できるよ。」

「それなら行くよ!」

にわとりも仲間になりました。

こうして、

ロバ、犬、猫、にわとり。

四匹でブレーメンを目指すことになりました。

ところが、その日のうちにブレーメンへ着くことはできませんでした。

辺りはすっかり暗くなっています。

「今日は森で休もう。」

四匹が寝る場所を探していると、遠くに小さな明かりが見えました。

「あそこに家があるぞ。」

四匹は明かりの方へ向かいました。

家の中をそっとのぞいてみると、そこには泥棒たちがいました。

テーブルには、ごちそうがたくさん並んでいます。

「おなかがすいたなあ。」

四匹はどうしたらいいか相談しました。

やがて、一つの作戦を思いつきました。

ロバが窓に前足をかけます。

その上に犬が乗ります。

さらに猫が乗り、一番上にはにわとりが乗りました。

そして、四匹は一斉に声をあげました。

「ヒヒーン!」

「ワンワン!」

「ニャー!」

「コケコッコー!」

突然の大きな声に、泥棒たちはびっくり。

窓の外には、見たこともない大きな影が見えています。

「ば、化け物だ!」

泥棒たちは大慌てで家から逃げ出しました。

四匹は家の中へ入りました。

「わあ、ごちそうだ!」

おなかいっぱい食べると、それぞれ気に入った場所を見つけて眠りました。

ところが夜中になって、一人の泥棒がこっそり戻ってきました。

家の中は真っ暗です。

泥棒がそっと入ると、猫が目を光らせました。

「うわっ!」

驚いた泥棒に猫が飛びかかります。

犬も起きて、泥棒を追いかけました。

ロバは後ろ足で蹴り飛ばし、にわとりは大声で鳴きました。

「コケコッコー!」

泥棒は夢中で森へ逃げていきました。

「やっぱり、あの家には恐ろしい化け物がいる!」

泥棒たちは、もう二度と戻ってきませんでした。

次の朝。

四匹は家の中を見回しました。

食べ物があり、暖かく眠る場所もあります。

「ここはなかなかいいところだね。」

「ブレーメンまで行かなくても、ここで暮らせそうだ。」

四匹はその家がすっかり気に入りました。

こうしてロバ、犬、猫、にわとりは、ブレーメンへ行くことなく、その家で一緒に暮らすことになりました。

四匹のにぎやかな声は、それからも森の中に響いていたそうです。

おしまい。


登場人物

ロバ

長い間働いてきた年老いたロバです。

家を出て、ブレーメンで音楽隊になることを思いつきます。

犬

年をとり、狩りが難しくなった犬です。

旅の途中でロバと出会い、仲間になります。

猫

年をとって、ねずみを捕まえるのが難しくなった猫です。

ロバたちと一緒にブレーメンを目指します。

にわとり

大きな鳴き声を持つにわとりです。

ロバたちに誘われ、旅に加わります。

泥棒たち

森の中の家にいた泥棒たちです。

四匹の姿と大きな鳴き声に驚いて逃げ出します。


親子で話したいポイント

  • 四匹の中で、どの動物と一緒に旅をしてみたい?
  • 四匹はどうやって泥棒を驚かせたのかな?
  • 自分が音楽隊に入るなら、どんな楽器をやってみたい?
  • 四匹はブレーメンへ行かなかったけれど、そのあとどんな暮らしをしていたと思う?

保育士向け活用ポイント

ロバ、犬、猫、にわとりと、子どもにも親しみやすい動物が次々に登場します。

それぞれの鳴き声をまねしたり、四匹が重なる場面を身体表現で楽しんだりできます。

登場人物の役割が分かりやすく、劇遊びや発表会にも取り入れやすいお話です。

「ヒヒーン」「ワンワン」「ニャー」「コケコッコー」とみんなで声を合わせる場面は、読み聞かせでも子どもが参加しやすく楽しめます。

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